オラクル(Oracle)の株価が利益率に関する内部報告を受けて急落した。AI関連収益構造への疑念が広がり、暗号資産市場の時価総額にも波及的な影響が見られている。
LLM(大規模言語モデル)開発企業やAIインフラ企業への循環的な資金流入が続くなかで、一つの崩壊がドミノ効果を引き起こす可能性がある。AIバブルが臨界点に近づいているとの警戒感が高まっている。
Sponsoredオラクル株の急落とAI業界への波紋
クラウドインフラとデータベース分野でAI技術を積極展開してきたオラクルは、直近の好決算を背景に高パフォーマンスを維持していた。しかし、The Informationが報じた内部データによって投資家心理は一変し、株価は急落した。
時価総額は一日で約400億ドル吹き飛び、AI関連株全体に波紋が広がった。特に暗号資産市場でも一部投資家がリスク回避に動き、グローバル時価総額が連動して下落している。
オラクルは上昇基調の財務データを発表しているものの、AIクラウド事業の利益率が極端に低いことが判明。Nvidia製サーバーのレンタル収益は1ドルあたり約14セントの利益しか生まず、一部契約では損失に転じているという。
前四半期には「ブラックウェル」GPUのレンタルで約1億ドルの損失を計上しており、AI基盤事業の収益性に根本的な問題があると指摘されている。
SponsoredAI市場に広がる「収益性の幻想」──次の崩壊は来るか
この問題の核心は、AIクラウド製品の「需要不足」ではなく「利益構造の欠陥」にある。多くのAI関連企業が赤字を容認しながら事業を拡大しているが、それは「投資による成長」モデルが限界を迎えつつある兆候だ。
AIインフラ市場では、チップメーカー・クラウド企業・スタートアップの間で循環的な資金移動が起きている。LLM開発者がGPUメーカーに数十億ドルを支払い、そのメーカーが再びAIクラウド企業へ契約を回す「自家循環型エコシステム」だ。
オラクルはこのネットワークの中心ではないものの、主要なサプライチェーンの一角を担っており、今回の崩れがAIエコシステム全体に連鎖するリスクがある。
市場では、AI関連投資の「バブル」化が現実味を帯びてきた。投資額と企業評価額が急騰する一方で、収益化は追いついていない。オラクルの利益率崩壊は、この構造的不均衡を露呈させた。
AI市場の動揺は暗号資産にも波及しかねない。近年、AIと暗号は技術・投資両面で密接に結びついており、どちらかが崩れれば他方にも資金流出が起こり得る。
AI投資熱の冷却がブロックチェーン業界の健全化につながるのか、それとも両市場の調整を加速させるのか──今後数週間が試金石となる。