PayPalの米ドル建てステーブルコイン(PYUSD)がステラーブロックチェーン上で稼働を開始し、ユーザーにより迅速かつ低コストの決済手段を提供する。
PayPal、Venmo、さらにステラーのエコシステム全体での統合が進むなか、この動きがステラーのネイティブトークンXLMに与える影響に関心が集まっている。
ステラー、ペイパルUSDと利回り型ステーブルコインで決済機能を強化
SponsoredPYUSDは木曜日にステラーで稼働を開始。低手数料の送金、約5秒の確定性、法定通貨へのオン/オフランプとなるアンカーを強みとして打ち出した。
同時に、決済用途に対応したステラーアセットコントラクト互換のコントラクトも公表された。
ステラーデベロップメントファンデーションは同様の見解を示し、日常の支払いを変革し得る手段として評価。コミュニティの反応も総じて好意的だ。
ステラーは速く、安価で、安全だ。私たちが待ち望んでいた最大のパートナーシップの一つ。非常にエキサイティングだ!
—— ユーザー投稿
一方で、今回の統合は単なる話題にとどまらず、決済特化型チェーンとしてのステラーの長年の使命を裏打ちする動きとも受け止められる。
タイミング的にも、今月初めに稼働したステラーのプロトコル23アップグレード「Whisk」と合致する。
Sponsored SponsoredWhiskは並列スマートコントラクト実行と、5000TPSへ最適化したスループットを導入。ステラー史上、最も重要な技術的改善の一つと位置づけられる。
レイテンシーとコストを抑えつつ処理能力を引き上げることで、Whiskはステラーのウォレット、アンカー、決済パートナー網におけるPYUSDの効率的スケールを下支えする。
また、開発者は統一イベントフォーマットの導入により、従来のステラーオペレーションとスマートコントラクトを組み合わせたアプリケーションを構築しやすくなる。
オンド・ファイナンス、ステーブルコインに利回り機能を付与
なお、9月のステラー上のステーブルコイン展開はPYUSDにとどまらない。Ondo FinanceはUSDYを導入。米国債と銀行預金を裏付けとする利回り型ステーブルコインだ。
SponsoredUSDCやPYUSDと異なり、USDYは流動性を維持したまま日次で利回りが自動蓄積される。
ステーブルコインは米ドルへのグローバルアクセスを解放した。USDYでは、安定性・流動性・利回りを組み合わせた形で米国債をオンチェーン化し、次の段階へ進む。
—— イアン・デ・ボード(Ondo Finance CSO)発表より
ステラーデベロップメントファンデーションのデネル・ディクソンCEOも、ステラーの到達力と利回り資産の組み合わせがオンチェーンの可能性を広げると評価した。
USDYは既にLOBSTR、Aquarius、Meru、Soroswap、Decaf Walletなど、ステラー基盤のアプリに統合済みである。
Sponsored SponsoredXLM価格の見通し
注目材料が相次ぐ一方、XLMはローンチ当日に約1.3%下落、直近24時間でも約2%下落した。本稿執筆時点での価格は0.39ドル。
短期的な値動きが流動性と全体のリスクセンチメントに左右されやすい点を踏まえると、投資家姿勢はなお慎重といえそうだ。
もっとも、パートナーシップと技術アップグレードは中長期の上昇基盤を提供し得る。
いずれにせよ、ステラーは米系フィンテック大手のステーブルコインと、米国債に裏付けられた初の利回り型ステーブルコインの双方をホストするに至った。Whiskのアップグレードと相まって、エコシステムはかつてない厚みを備えつつある。