ビットコイン懐疑派として知られるピーター・シフ(Euro Pacific Asset Management CEO)氏が15日、トークン化ゴールドプラットフォーム「TGold」を立ち上げ、ビットコインとの優劣論争を再燃させた。2025年12月のドバイでのCZとの直接討論では、双方が貨幣の本質をめぐり真っ向から対立。現実資産のトークン化という文脈で、ビットコインの位置付けが改めて問われている。
ビットコイン批判者がブロックチェーンを採用―TGoldの全容
シフ氏は2025年末、金・銀を分別管理された金庫で保管し、ブロックチェーントークンとして出金できるプラットフォーム「tgold.com」を公開した。トークンは分割可能で第三者への譲渡も可能であり、物理的な金属を動かさずに所有権を移転できる。同氏自身も「トークン化により金の可搬性・分割性・代替可能性が向上し、貨幣としての特性がすべて改善される」と認めた。この発言をCZはすかさず捉え、「トークン化ゴールドは金そのものより優れている」と応じたが、シフ氏はその価値の源泉はあくまで保管庫内の金であると強調した。
「裏付けなき資産」対「脱中央集権の価値」―ドバイ討論の核心
25年12月4日、バイナンス・ブロックチェーンウィーク(ドバイ)での公開討論で、シフ氏はビットコインを「何の裏付けもない資産」と断じた。ビットコインは21年高値(6万9000ドル)時点では金37.2オンスを購入できたが、当時の討論時点では22オンス台にとどまっており、金比較で約40%下落していると指摘した。さらに、26年3月現在、金価格は1トロイオンス5,200ドル前後まで上昇し、ビットコインは2025年10月の史上最高値12万6,000ドルから約7万ドルへと大幅に下落。BTCで購入できる金はおよそ13〜14オンスまで縮小しており、シフの主張を裏付ける形となっている。
一方、CZはインターネットや検索エンジンが物理的実体を持たずとも価値を持つと反論。「ビットコインは15年間一貫して上昇し続けており、単なる価値保存手段にとどまらないグローバルな決済ネットワークだ」と述べた。決済手段としての実用性をめぐっては、CZがアフリカでの事例を紹介し、暗号資産が月3日かかっていた支払いを3分に短縮したと主張。同氏はそれを否定せず、スマートコントラクトやステーブルコインでも同様の効果が得られると応じた。
RWAトークン化市場の拡大―金価格高騰が追い風
シフが参入を表明したトークン化ゴールド市場は急成長している。RWA.xyzの最新データによれば、Tether Gold(XAUT)の時価総額は約29億ドル、PAX Gold(PAXG)は約25億ドルに達しており、両銘柄だけでセクター全体の97%近くを占める。
市場全体の時価総額は26年2月に60億ドルを突破し、26年だけで20億ドル以上増加した。金価格自体も同年1月29日に1トロイオンス5,595ドルの史上最高値を記録。その後も5,200ドル前後の高水準で推移しており、過去1年で77%超の上昇率を誇る。
一方、ビットコインETFからは2026年に入り累計38億ドル超の資金が流出しており、機関投資家が安全資産としての金とリスク資産としてのビットコインを明確に選別する動きが続いている。シフはこの流れが自らの主張を証明していると強調するが、JPモルガンは「BTCのボラティリティが金比で過去最低水準に低下しており、長期的にはビットコインの方が魅力的」とする見解も示しており、論争に新たな視点を加えている。