パイコイン(PI)の価格は、市場全体が強含む中でも狭いレンジにとどまっている。執筆時点のPIは0.360ドルで、過去24時間の変動はゼロ。週次で1.5%高、月次で3.4%高と、直近のトークンとしては珍しくプラスを維持している。
もっとも、こうした安定上昇にもかかわらず、過去1週間で明らかになったのは、Piコインの価格が買い方と売り方の膠着にあるという事実だ。市場はブレイクアウト待ちで、数値はそれが近いことを示唆する。2%の上昇か5%の下落か――どちらに振れるかで勝敗が決まる可能性がある。
Sponsored買い手と売り手の膠着状態が資金流動に反映
大口ウォレットと個人トレーダーの動きの違いは、資金フローに表れている。資金の流入・流出を測るChaikin Money Flow(CMF)は、執筆時点で0.11から0.03へ急低下した。
この低下は、大口ウォレットが資金を引き揚げつつあることを示し、信認の後退を示唆する。
一方、出来高と買い圧力を示すMoney Flow Index(MFI)は逆方向へ。同期に43.11から52.71へ上昇した。個人トレーダーが小口で買い続け、パイコインの下落を押し目買いしている強いサインと言える。
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CMFとMFIの乖離が、膠着の核心にある。大口は後退する一方、個人の買いが価格を支えている。買い圧力と売り圧力の均衡を測るBull-Bear Power(BBP)も、この綱引きがほぼ拮抗していることを示す。
Sponsored現状、BBPは緑を示し、個人買いが大口の流出を上回っているように見えるが、均衡は容易に崩れ得る。流出が続けば、強気優位は失われかねない。
パイコイン価格チャートが膠着を破る要因を示す
価格構造も膠着を映す。パイコインの価格は8月25日以降、対称三角形のレンジ内を推移し、ブレイクアウト点へ向け圧縮が進む。0.360ドルのレンジ取引は、小幅上昇が出ても相場が固定化されていることを示している。
日足で0.367ドル超のクローズに至れば、上方トレンドラインの明確なブレイクアウトに相当し、現水準から2%の上昇。短期の上値目標は0.377ドルで、個人需要が強ければ到達し得る。
一方でリスクは残る。0.343ドル割れ(5%下落)なら構造は弱まり、0.334ドルを下回れば新安値に向かう可能性が高い。
買い手と売り手の綱引きがパイコインの停滞を招いているが、対称三角形はこの状況が長く続かないことを示唆する。
どちらかへの決定的な動きは近い。個人が粘り強く買いを続ける一方、クジラはエクスポージャーを落としている。ブレイクアウトかブレイクダウンかは、小口の買い圧が大口の流出を上回れるかに懸かっている。