パイネットワークが、生成AIブームの波に乗り、アイドル状態のノードとユーザーネットワークを分散型AIタスク向けに再活用しようとしている。
同プロジェクトは、42万1000台超のアクティブノードによるネットワークが、世界的なAI計算能力不足の解消に役立つと主張している。この広大なインフラは、100万台超の中央処理装置(CPU)に相当。
パイネットワーク、AI訴求でトークン15%上昇
パイネットワークは、自社が出資するロボティクス・スタートアップのOpenMindと共同で、実証実験を実施した。
実験では、7人のノード運営者がAI画像認識コンテナを受け取り、バスや人物といった物体を特定し、4秒以内に推論結果を返却することに成功した。
「全体として、実験を通じて分散型のパイノードがAI関連のワークロードを実行し、迅速に有用な結果を返せることが証明された」とネットワークは主張している。
ただし、プロジェクトがインフラ面で主張している内容と、現代のAI開発における技術的現実の間には大きな隔たりがある。
特に大規模言語モデルなど、複雑なAIシステムのトレーニングには膨大なリソースが必要であり、このプロセスには低レイテンシネットワークで緊密に接続された高性能GPUの大規模クラスターが不可欠。
パイノードに用いられている一般消費者向けCPUは、こうした集中的な行列演算に必要な並列処理能力を持たない。
AIトレーニング用途のハードウェアには限界がある一方で、パイネットワークはAI業界にとって潜在的に有用な資産を保有している。
それは、世界中に分散されている膨大なユーザーベースである。特に、同ネットワークは数百万規模の参加者に厳格な本人確認を義務付けている。
パイネットワーク共同創設者のチェンディアオ・ファン氏は、こうした認証済ユーザーがAIモデルに重要なヒューマン・イン・ザ・ループ支援を提供できると強調した。
「人間の参加も重要な要素であり、パイの認証済人間ネットワークは、AIシステムへのスケーラブルかつ本物の人的入力を提供する独自のリソース」とファン氏は語っている。
ネットワークユーザーをAIトレーニングのための分散型労働力として位置付けることで、パイは自社トークンの実需を創出できる可能性がある。参加者にはマイクロタスクの報酬としてパイトークンが支払われる。
一方で、ファン氏は同ネットワークの分散型AIトレーニングの取り組みが、業界の現状課題解決にも資する可能性を指摘した。
「分散型AIトレーニングは分散型ネットワークとの親和性が高く、データセンターの制約やエネルギー集中、さらに壊滅的忘却やグローバルステートのボトルネックといった中央集権型固有の課題にも対処し得る」と同氏は述べている。
なお、AI分野へのシフトにより、同ネットワークのトークンは本稿執筆時点で15%上昇し、0.2307ドルとなっている。