フランスで「値段がつけられないピンクダイヤモンド」が再び一般公開された。盗難からちょうど100年となるこの時期、ダイヤモンド価格が過去最安値圏にある中での公開となる。
9カラットのグラン・コンデが、10月17日にパリ北部のシャンティイ城で公開された。一方、鉱山から採掘される宝石の市場全体では異なる状況となっている。
ピンクダイヤモンドが替えの利かない存在である理由
1926年10月、2人のアマチュア窃盗犯が夜のシャンティイ城に侵入した。ピンクダイヤモンドは、ホテルの部屋でくり抜いたリンゴの中に隠された。
約2か月後、空腹のホテルのメイドがそのリンゴにかじり付き、宝石を発見した。その後、公開されてきたのはレプリカのみだった。
グラン・コンデの色は、地中深くで結晶構造が強い圧力で歪んだことに由来する。イエローやブルーのダイヤは、窒素やホウ素などの元素が色の起源。米国宝石学会(GIA)が鑑定するダイヤモンドのうち、ピンクが主な色であるものは全体の0.15%未満であるとサザビーズは指摘する。
ただし、グラン・コンデが唯一無二である理由は地質だけではない。1740年以来コンデ家のコレクションに加わり、フランス革命も生き延びてきた歴史がある。
なぜ一般的なダイヤモンド価格は過去最安値なのか
大半のダイヤモンドにはこうした由来がなく、価格にもその差が表れる。ピンクダイヤと異なり、標準的な1カラットの天然石は現在3898ドルとなったとCNBCが報じている。2021年の8007ドルから51%下落した水準。
投資向けダイヤのインデックス「ダイヤモンド・スタンダード・インデックス」は、8月初旬に2490ポイントと過去最安値を記録した。
研磨済みダイヤでも同様の傾向がみられる。ポリッシュド・ダイヤの指標であるIDEXダイヤモンド・インデックスも、2022年初めから価値が半分近くまで落ち込んだ。
かつての供給過剰がいまも価格を圧迫し、鉱山会社が生産調整しても値戻りしにくい。人工ダイヤは価格が最大90%安い上に、化学的には天然ダイヤと区別がつかない。
そのため、2025年に販売された婚約指輪の61%が人工ダイヤ使用となった。ダイヤと貴金属との価格差は拡大し続け、金価格は2011年以降2倍となっている。
グラン・コンデこそが、本当の価値がどこにあるかを示す。コモディティは重量で取引されるが、金でさえ年末にかけてはバンク・オブ・アメリカ予想で4000ドルを下回る水準。銀も2026年最安値付近で推移する。
一方、ピンクダイヤは希少性と由来そのもので評価される。
同じく希少なポケモンカードも2021年以来、ビットコインや金を上回るリターンを見せた。人工ダイヤ供給がさらに増えれば、由来こそが唯一残るプレミアムになる可能性。











