東証スタンダード市場上場のビットコイン財務企業リミックスポイントは20日、取締役会の決議に基づき、同社が戦略的保有資産として積み上げてきた約1,411BTC(ビットコイン)のすべてを暗号資産レンディング(貸暗号資産)に振り向けると発表した。運用委託先はCoinPost社が100%出資するSBIデジタルファイナンス株式会社で、運用開始は2月24日を予定する。価格変動リスクを抱えたまま保有を続けるビットコインから、利子収入というキャッシュフローを引き出す戦略転換として注目される。
価格変動局面に直面する1,411BTCの行方
リミックスポイントがビットコインを「財務戦略資産」として位置づけ始めたのは2023年ごろから。電力小売や暗号資産関連事業を手掛ける同社は、余剰資金をビットコインの現物取得に充て、段階的に保有量を積み増してきた経緯がある。
ところが、足元のビットコイン相場は2025年末の高値圏から大きく調整しており、2026年2月時点では不安定な値動きが続いている。単純保有のみでは含み益が縮小するリスクがある中、同社は「保有資産の毀損なく安定的な収益機会を創出する」という方針のもと、全保有量をレンディングに回す決断を下した。利率(年率)は市場金利と貸出期間に応じて変動し、SBIデジタルファイナンスとのパートナーシップに基づく法人向け優遇金利が適用される見通しだ。
SBIデジタルファイナンスとはどのような会社か
今回の受け皿となるSBIデジタルファイナンス株式会社は、2024年4月に設立されたばかりの新興企業。資本金は1,000万円と規模は小さいが、株式の100%をCoinPost社が保有し、暗号資産レンディング事業を専業とする。
SBIの名称を冠してはいるものの、リミックスポイントの開示によれば、同社との間に資本・人的・取引関係はいずれも存在しない。「SBIデジタルファイナンス」というブランドは独自のものであり、投資家はこの点を混同しないよう留意する必要がある。設立からわずか2年未満の事業者に1,411BTC相当の資産を預ける判断は、レンディング事業のカウンターパーティーリスク管理の観点から引き続き注視が求められる。
業績への影響と今後の開示方針
リミックスポイントは今回のレンディング収益について、「2026年3月期通期連結業績への影響は軽微」との見通しを示している。ビットコイン価格の変動が収益に直接影響するため、精度の高い業績予想は難しいと言える。
同社は、今後レンディングの数量が大きく変動するなど開示すべき事情が生じた場合、速やかに適時開示を行うとしている。上場企業によるビットコイン「利回り運用」という手法は国内でも事例が増えつつあり、リミックスポイントの取り組みはその先行事例として市場関係者の関心を集めそうだ。一方で、レンディング先の財務健全性や担保設定の有無などは現時点で公開されておらず、株主にとっては追加情報の開示が待たれるところだ。