ソラナ(SOL)はここ数週間、強力なオンチェーン指標を示しているものの、大口投資家(クジラ)による資金の流出も同時に発生している。ネットワーク利用が史上最高を記録する一方、主要投資家の撤退が進むという矛盾した状況に直面している。これは健全な資金循環なのか、それとも賢明な資金が静かに逃げ出しているのか、議論が分かれている。
ソラナがオンチェーンで急騰、クジラは静かにSOLを売却
SolanaFloorのデータによると、7月にソラナネットワークは、投票関連を除く月間の取引量で過去最高を記録した。実際の1秒あたりの平均取引数(TPS)は1,318に達し、これまでの記録を更新した。
一方、DeFiLlamaのデータによれば、SOLで換算したソラナのTVL(預かり資産総額)も過去3年以上で最高水準となっており、ユーザーおよびDeFiプロトコル間の結びつきが強まっていることを示している。

だがその一方、大口投資家は大量のSOLをステーキング解除し、バイナンス取引所に送金している。Lookonchainは、Galaxy Digitalが8月6日に25万SOL(約4070万ドル相当)をステーキング解除し、バイナンスに移動させたと報告した。
さらに、Onchain Lensの分析によれば、別のクジラが2か月間の休止後に490万ドル相当のSOLをステーキング解除したことが判明している。
このウォレットは過去4年間SOLを保有し続けてきたが、最近数カ月で約3000万ドル相当のSOLをバイナンスに移動させていた。同ウォレットは依然として1億7900万ドル相当のステーク済みSOLを保有しているが、売り圧力が強まっていることは明らかだ。
クジラ撤退の背景:新興DEX「ハイパーリキッド」が台頭
ソラナがオンチェーンで目覚ましい成果を上げているにもかかわらず、SOL価格は精彩を欠いている。年初来のパフォーマンスは約30%の下落となり、BTC(26%上昇)、ETH(15%上昇)、XRP(48%上昇)と比べて大きく見劣りしている。

ソラナの苦境の主な原因として、新興のDEX「ハイパーリキッド」の存在が挙げられる。長らくオンチェーン取引の中心地だったソラナは、特にプロトレーダーの間でハイパーリキッドの無期限取引商品に市場シェアを奪われつつある。
ハイパーリキッドは、シンプルかつ高機能な取引商品を提供することで、ソラナの勢いを奪うことに成功した。
マシュー・シーゲル
ヴァンエック・デジタル資産リサーチ責任者
さらに、ソラナの技術ロードマップも混乱している。ネットワークの処理能力と安定性を改善するために導入予定だった高性能クライアント「Firedancer」は、開発の遅延により導入が遅れている。
開発者の離脱や内部の対立が表面化し、市場からの信頼が低下している。シーゲル氏は、大口投資家がこうした不確実性を避けている可能性があるとしつつも、オンチェーンの利用状況は改善している点を指摘した。
一方で、すべての大口投資家がソラナを見放したわけではない。アナリストのテッド氏は、バイナンスで1200万ドル相当のSOLが購入され、カミノファイナンスに再ステークされたことを挙げ、一部クジラによる底値買いの動きが見られると分析している。
ソラナは依然として他のブロックチェーンにはない取引速度を誇り、そのエコシステムも単なるミームコイン市場を超え、成熟化している。しかし、機関投資家が長期的な資金を投入するためには、安定性や信頼性が不可欠であり、その点でソラナのエンジニアリングロードマップには課題が残っている。
ソラナは、単に性能だけでなく、長期的な安定性についても明確なメッセージを出す必要がある。
マシュー・シーゲル
ヴァンエック・デジタル資産リサーチ責任者

本稿執筆時点で、ソラナは164.31ドルで取引されており、過去24時間で2%以上下落している。
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