世界のステーブルコイン市場は13日、時価総額3101億1700万ドル(約48兆円)の過去最高値を記録した。DeFiLlamaのデータによれば、本稿執筆時点では3099億1100万ドルで推移している。テザーのUSDTが時価総額1862億4200万ドルで市場シェア60.10%を維持し、首位を堅持する。サークルのUSDCが783億1500万ドルで約25%のシェアを持ち、両者で市場の85%を占有する構造である。
過去12カ月でステーブルコイン市場は52.1%成長し、2037億2800万ドルから3099億1100万ドルへと拡大した。2025年11月の市場調整局面でも成長基調を維持し、直近7日間ではUSDTが0.32%増加して5億9334万ドル分が新規発行された。トロン、ソラナ、アービトラム、アプトス、ポリゴンなど複数のネットワークに展開されている。USDCは0.71%上昇し、イーサリアム、ソラナ、ハイパーリキッド、ベース、BSCで5億5556万ドル分が追加発行された。
イールド型ステーブルコイン、調整継続
一方、保有者に利回りを提供する「イールド型ステーブルコイン」は苦戦が続いている。エセナのUSDtbは18.99%下落し、市場は縮小傾向にある。StableWatchのデータによれば、イールド型ステーブルコインの時価総額は過去30日間で1.9%減少した。償還が新規発行を上回る状態が継続し、直近1週間でalUSDが80.5%、smsUSDが68.1%、sBOLDが13.6%それぞれ減少した。執筆時点でイールド型ステーブルコイン市場は64銘柄で約198億6000万ドルの規模である。
市場拡大の原動力は決済用途の非イールド型ステーブルコインである。フォーチュン誌の独占報道によれば、YouTubeがコンテンツ制作者への報酬支払いにペイパルUSD(PYUSD)の利用を開始した。ペイパルの暗号資産部門責任者メイ・ザバネー氏は、米国拠点のクリエイター向けに機能が稼働していると確認した。PYUSDは過去30日間で13.33%上昇し、時価総額38億6300万ドルで決済特化型ステーブルコイン中6位に位置している。
日本市場、規制整備で実装段階へ移行
日本では2025年10月27日にJPYC株式会社が日本円連動型ステーブルコイン「JPYC」の正式発行を開始した。2023年6月の改正資金決済法施行によりステーブルコインが電子決済手段として法的に定義され、2025年の法改正では信託型ステーブルコインの資産管理要件が緩和された。
2025年3月には、国内暗号資産取引所大手SBI VCトレードが米ドル建てステーブルコインUSDCの国内流通が開始され、SMBC、ゆうちょ銀行、マネックスグループなどが預金型または信託型モデルでの参入を表明している。専門家らは、円建てステーブルコインをドル支配に対抗する金融主権の試みと位置付けており、コンプライアンス重視のアジアモデルとして際立つアプローチであると評価している。