暗号資産市場は拡大を続け、時価総額は過去最高を更新している。中でも、法定通貨と連動するステーブルコインは金融基盤としての重要性を増している。
しかし、米運用会社コインファンドのクリストファー・パーキンス社長は、セキュリティが最大の脅威だと警鐘を鳴らす。BeInCryptoとの独占インタビューで、同氏は「ネオプライベティアプログラム」を提唱。民間の機動力を生かし、数十億ドル規模の搾取を防ぐ最善策になり得ると強調した。
ステーブルコイン急成長の裏で加速する攻撃リスク
法定通貨に価値を連動させたステーブルコインは、効率性の高さ、不安定な経済環境下での需要、伝統的金融機関による利用拡大、明確な規制、低コストと高い透明性といった要因から採用が進んでいる。
BeInCryptoによると、ステーブルコインを保有するウォレット数はソラナ(SOL)保有数を上回った。米財務省は市場規模が2028年までに2兆ドルに達する可能性を、シティグループは2030年に3兆7000億ドルに達する可能性を見込む。
だがパーキンス氏は、4兆ドル規模の暗号資産市場全体と同様、ステーブルコインも高度なサイバー攻撃にさらされていると警告する。オンチェーン上での取引価値が膨らむ中、セキュリティ強化は不可欠だという。
「国家や非国家の犯罪組織は、システムに巨額のステーブルコインが流入するのを見て、虎視眈々と狙っている」と同氏は語った。
GENIUS法準拠のステーブルコインには「凍結・押収」機能が組み込まれており、当局は不正が発覚した場合に準備金を押収し、トークンを無効化できる。しかし適正手続きには時間を要し、攻撃者はその間に資金を移動させてしまう。
ブロックチェーンは不正追跡に有効だが、国家支援を受けたハッカーはAIやディープフェイクなど新技術を駆使し、攻撃の精度と速度を高めているという。
「私の意見では、民間部門の解決策が必要だ。私にとって、その解決策は、民間部門のスキルと洗練を活用し、納税者にほとんど費用をかけずに実現するネオプライベティアプログラムだ。言い換えれば、最良の防御は…良い攻撃だ」と同氏はBeInCryptoに語った。
民間の機動力を活用―ネオプライベティア構想
パーキンス氏が提唱する「ネオプライベティア」は、暗号資産インフラを担うスタートアップや分散型チームに権限を与え、敵対勢力の資産を迅速に特定・押収する仕組みだ。
同氏は、こうした民間チームが国家安全保障の維持に不可欠だとする。
「プライベティアは米独立戦争の勝利に寄与し、憲法第1条に議会の私掠免許状発行権が明記された歴史がある」と述べ、過去の制度を現代に応用する意義を強調した。
パーキンス氏は、この「プライベティア精神」の復活により、暗号資産分野の安全確保と市場拡大を両立できるとみる。
「今日、ネオプライベティアプログラムは、暗号資産の世界全体にセキュリティを回復するために使用できる。民間部門の洗練を活用することで、ネオプライベティアは指定された敵に対して攻撃を仕掛け、不正な行為者から資産を積極的にハッキングして押収することができる。ネオプライベティアによって巡回されるセキュリティの傘を拡張することで、暗号資産の起業家はアメリカに戻ってくるだろう」と同氏はBeInCryptoに明かした。
コスト面でも優位、課題は倫理的配慮
政府が国家支援組織と競合できる高度人材を雇用・維持するには多額の費用がかかる。パーキンス氏は、ネオプライベティアが税負担を抑えた解決策になると指摘する。
「押収資産は戦略的ビットコイン準備金の原資にもなり得る」と述べ、経済面での効果も示した。
一方で、私掠行為には逸脱防止のための保証金制度が歴史的に存在した。現代版では、プライベティアが資産を「ステーキング」し、行動をブロックチェーン上で透明化する仕組みが必要になるとした。
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