オンラインゲームストア「Steam」が、知らぬ間に暗号資産マルウェアをゲーム経由でホストしていた。「Block Blasters」と名乗る偽ゲームが、少なくとも15万ドル相当のトークン窃取を可能にしていた。
人気の暗号資産探偵らがハッキング事案を拡散したのち、Steamは当該ゲームを削除した。ただ、老舗のソフトウェア配信プラットフォームにおける深刻なセキュリティ侵害であることに変わりはない。
Steamでホストされた暗号資産マルウェア
継続する暗号資産犯罪の波の一端には、高度化したマルウェア運用があり、新手の手口でトークンを盗む事例が増えている。
Sponsored中でも今回の手口は特に不気味だ。オンラインゲーム配信の「標準」とされるSteamが、暗号資産マルウェアを直にホストしていたからだ。
具体的には、Steamは「Block Blasters」という偽ゲームの配信を許し、そこに危険なマルウェアが仕込まれていた。ゲームは1か月超にわたり稼働し、プレイヤーのウォレットを狙う秘密の実行ファイルを動作させていた。
この手口により、少なくとも15万ドル相当の各種暗号資産が盗まれた。最終的な被害総額はさらに膨らむ可能性がある。
事件解明
著名探偵のZachXBTは直接の主導者ではないものの、自身の大きな発信力でSteamに警鐘を鳴らした。プラットフォーム側は通知後に迅速に当該ゲームを削除したが、数週間もの間ストアに残存していた事実は看過できない。
このスキームを暴いた調査チームは、不穏な所見をいくつか示している。第一に、マルウェアにはAI生成コード特有の痕跡が見られ、ホワイトハットによる包括的な解析が可能だった。これが、犯行グループと直接対峙できた理由の一つとみられる。
発端は、末期がん患者から3万2,000ドルが詐取されたことだった。対峙された犯罪者は反省の色を見せず、「被害者は活発な暗号資産トレーダーとして取り戻せる」と言い放ったという。
この不遜な発言が調査側の怒りを買い、グループ摘発への動機を一段と強めた。
犯行グループは技術力に乏しく、AI頼みでソフトウェア基盤を構築していたが、コミュニティの探偵に暴かれた。それでも、露骨なマルウェアがSteamのセキュリティプロトコルをすり抜けた事実は重い。
要するに、今回の件は大きな不祥事である。Steamは今後、より積極的かつ厳格な予防策を講じる必要がある。