日本はデジタル決済や仮想通貨の不正利用への警戒心が最下位=Stripe

15 mins

ヘッドライン

  • デジタル決済大手Stripeが「デジタル決済の未来」に関する消費者調査を実施
  • 日本は依然として「現金」「QRコード」が10年後も依然として主流になるだろうと予測される
  • 仮想通貨を使うデジタル決済などの不正利用への警戒心が低いことが鮮明になった
  • promo

オンライン決済大手Stripeはこのほど、アジア太平洋地域 (APAC) を代表する日本、豪州、シンガポール3カ国の男女18歳以上を対象に「デジタル決済の未来」に関する消費者調査を実施し、消費者が今後 10 年以内に決済技術に何を求めるかについて明らかにした。

オーストラリとシンガポールでは加速するキャッシュレス化による決済手段の細分化が進み、リアルタイム決済や後払い決済 (BNPL) 、生体認証決済などの新たな決済手段が受け入れられている中、日本は依然として「現金」「QRコード」が主流となることが明らかとなった。

出典:Stripe

主な調査結果は以下のとおり。

現在と10 年後の対面決済の変化

  •  3 カ国の市場全体でよく使用されている決済方法は「クレジット/デビットカード (70%) 」で、「現金」派は 68%、中でも日本市場単体では未だに「現金」が1位 (73%) に。今後10年以内に「クレジット/デビットカード」使用が減少すると 52% の人が予想

対面でよく使う決済方法は、日本、オーストラリアとシンガポールの全体で「クレジット/デビットカード」と回答したのが 70%、「現金」と回答したのが 68% という結果に。3 カ国間でも圧倒的に現金利用率が高い日本 (73%) では、現金が最も使われている決済手段である。日本のキャッシュレス決済比率は39.3% (2023年)と上昇傾向にあるものの、未だに現金大国であることが伺える。なお、3カ国全体で「クレジット/デビットカード」と回答した人が7割だったにも関わらず、今後10年以内に 52 %まで減少し、他の決済手段をより活用することが予測された。

  •  日本は他国に比べ、対面決済に「QR コード決済」を選択している割合が圧倒的に多い (44%)傾向に。ただし、10 年後の 3 カ国での利用意向は平均して現在と変わらず

日本では、「クレジット/デビットカード」と「現金」に次いで、「QR コード決済」が44%と3番目によく使われていることが明らかになった。日本での普及率が高い理由として、日本で生み出された QR コード自体への親しみがあるほか、各事業者のキャンペーン実施や導入のしやすさなどが考えられる。

一方で、シンガポールでは「 QR コード決済」を好んで使用している人は27%、オーストラリアに至っては6%と、日本と比較すると両国では普及していない。10年後の利用意向においても、3カ国平均ではほぼ横這いで、今後爆発的な普及は見込まれていないことがわかる。 日本と比べると、他の2カ国での決済手段は、より細分化されており、例えばオーストラリアでは、「スマホ/デジタルウォレット決済」がより使用されている (44%) ほか、送金完了までの時間が短く、24時間365日資金の即時送金を可能にする「リアルタイム決済」や若い世代に人気の「 BNPL (後払い決済)」 の利用が見られる。

  • 今後 10 年以内に起こりうる対面決済の変化において「スマホ/デジタルウォレット」への期待が増加。 3ヵ国平均として「生体認証決済」への期待値が 12 ポイントアップする中で、日本は上昇 1 ポイントと、生体認証への期待や理解が希薄である可能性も

10 年以内の対面決済の意向変化について調査したところ、「現金」の使用について 3 カ国平均で 44% が「やめていると思う」、そして「クレジット/デビットカード」については、32%が「やめていると思う」と回答した。各国で比較すると、「現金」の使用中止を予想しているのはオーストラリア 45%、シンガポール 61%であるのに対し、日本は 25% と低い結果になっており、日本は現金への信頼が厚く、長期的な利用意向も高いことが伺える。さらに、「クレジット/デビットカード」使用については、オーストラリア 35%、シンガポール 50%が「辞めていると思う」と回答したの一方で、日本はたったの 10%と大きな差があることが見受けられる。そのため、日本では今後 10 年も、「現金」と「クレジット/デビットカード」が主流の決済方法になると予測される。

一方で、「現金」と「クレジット/デビットカード」以外で、10 年以内にどんな決済方法を選んでいくことになるかを聞いたところ、3カ国平均で「スマートフォン/デジタルウォレット (45%)」、「QR コード決済 (26%) 」、「リアルタイム決済 (25%)」、「生体認証決済 (16%) 」、「ウェアラブル決済 (10%)」「 BNPL (後払い決済)  (9%)」、「仮想通貨 (5%) 」という結果になり、現状と比較すると、デジタル決済の細分化がより一層激しくなっていくことがわかる。中でも「スマートフォン/デジタルウォレット」は現状の 36%から 45%と9ポイント上昇し、「クレジット/デビットカード」に次いで存在感がさらに増してくることが予想される。また、3カ国平均で「生体認証決済」が4%から16%へ上昇しているのに対し、日本は現状の1%から2%と変化はほぼ見られないという結果になった。

赤:全体と比較して大幅に低い /  青:全体と比較して大幅に高い

デジタル決済体験について

  • デジタル決済では、3ヵ国平均で 71% の人がオンラインでの購入体験に不満を持っている一方、日本は 55%とオンライン購入による不満度が比較的低いことが判明

令和4年度電子商取引に関する市場調査」によると、2022 年の世界のEC化率は約20%(19.3%)となっており、キャッシュレス化が進むにつれて今後世界のEC化率は拡大傾向だ。3カ国平均で94%が「オンライン上で買い物をする」と回答した中で、71%の人がオンラインでの購入体験に不満を持っていることが判明した。ただ、日本の不満率は55%と、オーストラリア81%、シンガポール78%と比較すると、どちらも約25 ポイント前後も差があることから、不満が低めだった。

不満の理由として一番多かったのが、「購入前にアカウント作成が必要 (42%) 」、「配送コストが分かりにくい (32%) 」、「決済情報の手動入力 (26%) 」、「希望の決済手段がない (17%)」、「現地通貨で表示されていない (16%)」と続き、 EC での購入において、決済前にかかる手間の多さが不満となっていることが明らかになった。

赤:全体と比較して大幅に低い /  青:全体と比較して大幅に高い
  • 日本 (72%) はシンガポールやオーストラリア (82%) に比べると、オンライン購入への抵抗感が低いことが判明。不正利用への警戒心も日本は 3 カ国では最下位との結果に

3カ国平均として79%が「オンラインで商品やサービスを購入する際に抵抗を感じることがある」と回答しており、抵抗を感じる理由としては、「オンラインで購入前に実物を見たいから (46%) 」、「 不正利用が心配だから (40%) 」、「返品/返金対応が難しいから (32%) 」、「個人情報の安全性が信頼できないから (29%) 」という結果となりました。

3カ国を比較した際、オーストラリアとシンガポールは日本よりも全体的に抵抗感が高く (日本:72%、オーストラリア:82%、シンガポール:82%) 、特に不正利用への警戒は日本よりも高い (日本:27%、オーストラリア:43%、シンガポール:49%) ことが分かりました。ただ、日本の方が他国に比べて抵抗感が低い中でも、抵抗を感じる理由として「不正利用が心配だから (27%) 」、「 個人情報におけるセキュリティーの安全性が信頼できないから (22%)  」という理由もあがっており、日本の社会課題でもある不正利用などのセキュリティー面で抵抗を感じる人が一定数いることが判明しました。

赤:全体と比較して大幅に低い /  青:全体と比較して大幅に高い

ECや決済におけるAIへの期待

  • 72% が現在「EC や決済において AI 機能が役立っている」と回答し、男性は女性よりも「AI チャットボットツール」を評価していることが判明。また、今後 EC や決済において、AI に「不正利用対策」と「レコメンドエンジン」を期待していることが明らかに

 生成 AI過渡期の今、AIを実装しているECサイトも多く、消費者のオンラインショッピング体験の向上が期待されている。「EC や決済においてAIは役立っているか」という質問に対して、3カ国全体で 72% の人が「役立っている」と回答した。役立っているAI機能については、「不正利用の防止 (51%)」をはじめ、「頻繁に購入する商品のクーポンやお得情報のおすすめ (37%) 」「AIチャットボットツールを利用した購入時における問題解決 (28%) 」などが挙げらる。男性は女性よりも、AIチャットボットツールでの問題解決を評価しており (男性:31%、女性:25%) 、「AIチャットボットツールを利用して商品を購入する能力」も評価していることから (男性:16%、女性:10%)、男性の方が女性よりもAIの活用に意欲的だった。

また、3カ国全体の59%が、商品の購入やサービス利用で決済の際に AIがもたらす潜在的なメリットとして、「AIによる詐欺や不正利用の防止」を挙げており、他にも「個人情報の保護 (56%)」、同率の48%で「質問の解決」や「決済プロセスのスピード向上 」などがあった。単なるECでの購入や決済体験の向上だけでなく、増加傾向にある不正利用や詐欺に対しての解決方法として、AIを期待している人が多いことが明らかになった。

赤:全体と比較して大幅に低い /  青:全体と比較して大幅に高い

この調査結果を受けて、Stripeジャパン代表取締役のダニエル・へフェルナン氏は、

「現在は現金やクレジットカード/デビットカード決済が主流ではあるものの、今後10年で、デジタルウォレットや生体認証決済、ウェアラブル決済など、様々な決済方法が市場を占めていく事が想定されており、この変化を非常に興味深く感じています。Stripe では、この様に日々進化する決済への迅速な対応を可能にするため、決済プラットフォームのオープンエコシステム化を実現しました」

と語った。

【調査概要】
・調査方法 :インターネットアンケート
・調査実施機関:YouGov
・調査実施期間:2024年6月18日(火)~25日(火)
・対象地域 :オーストラリア、シンガポール、日本
・対象者 :N=3,048 18 歳以上の男女(日本は N=1,022)

ベスト暗号資産取引所
BingX BingX 見る
AlgosOne AlgosOne 見る
BYDFi BYDFi 見る
Coinrule Coinrule 見る
Chain GPT Chain GPT 見る
ベスト暗号資産取引所
BingX BingX 見る
AlgosOne AlgosOne 見る
BYDFi BYDFi 見る
Coinrule Coinrule 見る
Chain GPT Chain GPT 見る

Trusted

Follow us on:

X(Twitter):@BeInCryptoJapan
Telegramチャンネル:@BeInCrypto Japan オフィシャルチャンネル

免責事項 - Disclaimers

当ウェブサイトに掲載されているすべての情報は、誠意をもって作成され、一般的な情報提供のみを目的としています。当ウェブサイトに掲載されている情報に基づいて行う一切の行為については、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

Shigeki_Mori.jpg
Shigeki Mori
大阪府出身。日本では雑誌編集者、読売テレビ広報記者、豪州では日系メディア編集・記者などを経てフリーに。日本とオーストラリアで20年以上、ジャーナリスト、編集者、翻訳者、ウェブプロデューサーとして活動してきた。近年は暗号資産関連の記事の執筆や翻訳、コンテンツ・マネジメントを行っている。
READ FULL BIO
スポンサー
スポンサー