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三井住友カードとマイナウォレット、公的認証活用のステーブルコイン決済実証へ

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執筆&編集:
Shigeki Mori

16日 1月 2026年 17:31 JST
  • 三井住友カードとマイナウォレットが、マイナンバーカードを活用したステーブルコイン決済の連続実証実験を開始、第一弾は1月23日から福岡市で実施される
  • マイナンバーカードの公的認証機能をウォレットとして利用し、stera端末でJPYCによるタッチ決済を実現、専用アプリのインストールが不要な仕組みを採用
  • 複数地域での実証を経て中期的なサービス化を目指すほか、将来的には訪日外国人向けのステーブルコイン決済スキームの構築も検討する
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三井住友カードとマイナウォレットは16日、マイナンバーカードを利用したステーブルコイン決済システムの実用化に向けた連続実証実験プログラムを開始すると発表した。公的個人認証技術とブロックチェーン決済を組み合わせた独自方式により、スマートフォンアプリ不要の決済体験を目指す。第一弾の実証実験は1月23日から福岡市で開催されるプロバスケットボールの試合会場で行われる。

マイナカード認証とstera端末の融合

三井住友カードとマイナウォレットが開始する実証実験プログラムは、既存のキャッシュレス決済とは異なるアプローチを採用している。利用者はマイナンバーカードを決済端末にかざすだけで、ブロックチェーン上の日本円連動型ステーブルコインJPYCによる支払いが完了する仕組みだ。

マイナウォレットが開発した技術では、マイナンバーカードに搭載された公的個人認証機能をウォレットとして活用する。これにより、専用アプリのダウンロードや複雑な初期設定が不要となり、デジタル技術に不慣れな高齢者や子どもでも利用できる体験を実現できるとしている。決済端末には三井住友カードの次世代決済プラットフォームsteraを使用し、クレジットカードや電子マネーと同様の操作感で暗号資産決済を可能にする。

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福岡市で実施される第一弾の実証実験では、ライジングゼファーフクオカのホームゲーム会場である照葉積水ハウスアリーナが舞台となる。来場者はマイナンバーカードで事前登録を行い、JPYCの付与を受ける。その後、会場内の売店でstera端末に金額を表示させ、カードをかざして決済を実行する流れだ。裏側ではポリゴンブロックチェーン上でステーブルコインの移転処理が行われるが、利用者は技術的な詳細を意識する必要がない設計となっている。

複数地域での段階的な実装を計画

両社は今回の取り組みを単発の試験にとどめず、複数の実証実験を重ねる方針を明確にしている。スポーツやエンターテインメント施設での利用拡大に加え、商業施設や観光地、公共施設など多様な場面での検証を計画する。さらに、自治体と連携したデジタル地域通貨の配布や、行政手続きにおける公共料金支払いへの応用も視野に入れている。

各実証実験で収集したデータやフィードバックを基に、システムの改善を段階的に進める計画だ。ユーザー体験の向上だけでなく、加盟店側の運用負担や自治体のニーズにも対応しながら、中期的なサービス化と国内展開を目指す。

長期的な展望として、両社はインバウンド需要への対応も検討している。訪日外国人旅行客が保有するUSDCなどの海外発行ステーブルコインを、stera端末を介して国内店舗で利用できる決済スキームの構築を進める方針だ。これにより、マイナンバーカードを用いた国内居住者向け決済と、暗号資産を活用したインバウンド決済の両立を図る。

ステーブルコイン決済の社会受容に向けた課題

日本では改正資金決済法の施行により、法定通貨連動型ステーブルコインの発行と流通に関する法整備が進んでいる。金融機関や資金移動業者による発行が認められ、ブロックチェーン技術を活用した新たな決済手段への期待が高まる一方、実店舗での利用体験の設計や技術に不慣れな層への対応が課題となっていた。

三井住友カードは1967年の創業以来、日本のクレジットカード業界を牽引してきた決済事業者。stera端末は全国の中小店舗を含む多様な加盟店に導入されており、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など複数の決済手段に対応できるオープンプラットフォームとして機能している。今回の実証実験では、この既存インフラを活用することで、新たな決済手段を迅速に市場に投入できる可能性を検証する。

マイナウォレットは2023年6月設立のスタートアップで、マイナンバーカードと公的個人認証を組み合わせたデジタル資産管理サービスを開発している。同社は昨年12月、しずおかフィナンシャルグループとの共同研究を発表しており、イーサリアムのレイヤー2ブロックチェーンであるベース上でのデジタル通貨発行実験を進めている。

今回の取り組みは福岡市実証実験フルサポート事業に採択されており、自治体の支援を受けながら社会実装に向けた検証を行う体制が整っている。改正資金決済法の施行後も、実用化に向けた事例は限定的だったが、公的認証基盤と既存決済インフラを組み合わせた今回のアプローチが、ステーブルコイン決済の普及にどのような影響を与えるか注目される。

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