米調査会社ファンドストラットの共同創業者トム・リー氏が3日、11月のS&P500は250ポイント上昇する可能性があると示した。年末に向け、運用成績で出遅れたファンドマネージャーが買いを強めるとみる。
2025年は運用者の8割超が目標未達となる見通しで、年末相場に向けた資金流入が焦点となる。
11月は例年株式に追い風が働く傾向がある。市場ではバリュエーションへの懸念が残る一方、マクロ環境の改善が投資家心理を下支えしている。
Sponsoredファンドマネージャー 11月の上昇期待牽引
リー氏の強気な見通しは、CNBCのインタビューで「パフォーマンス追求」を中心に展開。2025年には多くのファンドマネージャーがベンチマークに遅れを取っているため、年末にかけての買い注文が増加することが多い。このパターンは、歴史的に強い季節におけるリターンの増加をもたらしてきた。
S&P 500は2025年ですでに早い回復を遂げている。4月には年初来15%を超える下落をしていたが、現在は2桁台の上昇で終わる見通し。
この回復は、1982年、2009年、2020年のような転換が見られたまれな年となる。ライアン・デトリック氏は、そうした年は翌年も2桁台の利益が続くことがよくあると指摘している。
22.8%の6ヶ月間の上昇の後、歴史的にはS&P 500はさらに上昇を続けることが多い。こうした上昇の後の中央値3ヶ月の利益は3.4%、12ヶ月の平均利益はほぼ10%に達する。この勢いはリー氏の2026年への継続上昇の見解を支えている。
11月は歴史的に株式にとって最良の月の1つ。1927年以来、S&P 500は59%の11月で上昇を終え、平均利益1.01%で3番目に強力な記録を持つ。
Sponsored Sponsoredナスダック100とラッセル2000はこの期間中にそれぞれ2.47%と2.64%のより良い平均利益を示している。
11月に入るまでにS&P 500が年初来15%以上上昇していると、平均で2.7%の利益が出ている。
米国大統領サイクルの初年では、11月にS&P 500が67%の確率で上昇しており、平均0.67%の上昇。このパターンはさらなる利益のリー氏の予想を強化。
Sponsored生成AIと企業利益で逆風相殺
リー氏は、多くの部門での人工知能からの利益が企業の利益とマージンを引き上げていると指摘。関税と連邦準備制度に関する懸念がある中で、これらの基礎的条件が同氏の楽観的な見通しを支えている。AIは、経済不確実性の中で企業が利益を維持できるようにする主要な収益の牽引役。
インフレ傾向もさらに好材料。コアインフレは予想より速く低下し、住居費用も安定。このことが金融政策にかかる圧力を緩和させ、連邦準備制度に柔軟性をもたらし、急激な利上げの可能性を減少させる。
一方で、暗号資産市場は株式の上昇を補完する可能性があるレジリエンスを示している。ビットコインとイーサリアムは統合中だが、アプリの高収益とステーブルコインの取引量増加が強健な基礎的条件を示す。これらの傾向は、株高を支える年末の暗号資産ラリーの可能性を示唆。
楽観の中でも評価懸念続く
すべてのアナリストがリー氏の楽観を共有しているわけではない。現在、S&P 500はフリー・キャッシュフローの40倍で取引されており、ドットコムピークの50倍から25%減。
Sponsored Sponsoredこの水準は現行ブルマーケット平均のほぼ2倍で、1990年代後半に似た過大評価の兆候に警戒感が広がる。
CAPE比率は依然高水準で、価値重視の投資家に警戒を促す。しかしリー氏は、強固な基礎的条件とAIによる収益成長が高値を正当化すると反論。AIが収益性に与える影響を従来の尺度が完全に捉えていない可能性を指摘する。
この議論は、モメンタム主導の楽観と評価に対する注意喚起の間に緊張が存在。リー氏は短期のカタリストに自信を持ち続けるが、懐疑派は条件が悪化したり収益が目標に達しない場合に高い倍率が次の余地を残さないことを警告。
11月が進む中、重要な問いは、ファンドマネージャーの緊急性と季節的な勢いがS&P 500を7000まで押し上げるかどうかである。
その結果は、おそらく企業の収益、今後のインフレデータ、そして今後数週間の連邦準備制度の政策決定にかかっているだろう。