TRON(TRX)の価格が市場の流れに逆らうように堅調な推移を見せている。創業者ジャスティン・サン氏の宇宙旅行という話題も重なり、市場で注目を浴びている。時価総額トップ20の主要暗号資産が軒並み週間ベースで下落する中、TRXだけは唯一のプラス圏を維持。過去7日間で3.3%上昇し、足元では0.33ドルをやや上回って推移している。
市場関係者が注目するのは、2024年12月の過去最高値(ATH)以降、再び上昇基調を取り戻せるかだ。クジラ(大口投資家)の動向、小口投資家の勢い、そして市場センチメントが複雑に絡み合っている。
BTCペアのブレイクアウトパターン再来でクジラが動く
TRONの供給量の0.1%以上を保有するいわゆる「クジラ」のウォレットは現在、積極的に買い集める動きを見せている。IntoTheBlockのデータによれば、7月29日にこれらクジラウォレットへのTRX流入量は13億TRXに達し、前週比588%の急増を記録した。

この流入量は、2024年12月のATH直前に記録された103億TRXのスパイク以来の規模となる。今回の動きはマクロ経済環境ではなく、ジャスティン・サン氏によるブルーオリジン宇宙飛行の話題性とも一致している。
この指標は、クジラウォレットへ移動したTRXの量を示すもので、通常、取引所への流入とは異なり、蓄積行動を意味するため、売却のシグナルとは見なされない。
また、市場ではBTC建てのTRXチャートが現在上昇トライアングルを形成しており、これは2024年のブレイクアウト直前のパターンと酷似していると指摘される。

現在のTRX/BTCは0.00000293BTC近辺で推移しており、BTC建てでのブレイクアウトがUSDT建てのTRX価格にも波及効果をもたらす可能性がある。
TRX/BTCチャートは、ビットコインに対するTRONの相対的な強さを示す指標。これが上昇している場合、市場のリーダーであるBTCよりもTRXが相対的に強いことを意味する。
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トレーダーはロングを増やすも、資金流入の勢いは鈍化
クジラの動きが活発化する一方、市場の資金流入の勢いは依然として弱い。マネーフロー指数(MFI)は現在52で、2024年の強気相場を支えた80以上の高値には達していない。クジラが仕込みを進める一方で、一般投資家による流動性供給が追いついていない可能性がある。

資金流入の弱さが、新たなATH達成までに時間を要する理由の一つとなっている可能性がある。マネーフロー指数(MFI)は価格と取引高に基づき、資金がTRXに流入しているか流出しているかを示す指標。買い・売りの圧力を測定する。

一方、小口投資家の間では強気の見方が優勢となっている。Coinglassによれば、TRXのロング・ショート比率は8月5日時点で1.36に上昇。すべての建玉のうち約58%がロング(価格上昇)を予想しており、投機的需要が強まっていることを示唆している。資金流入の勢いが回復すれば、この強気の期待感が価格のさらなる上昇を加速させる可能性もある。
ロング・ショート比率は価格上昇(ロング)を見込むトレーダーと価格下落(ショート)を予想するトレーダーの比率を示し、市場センチメントのバロメーターとして機能する。
重要水準突破にあと一歩
TRONの週足チャートでは、価格は0.31ドルの水準を突破した後、現在0.33ドル付近でレンジ相場を形成している。0.32ドル付近はこれまで抵抗線だったが、現在はサポートとして機能している。
今後の焦点は、0.34ドルの水準を明確に上抜けられるかどうかだ。強気派が週足ベースでこの水準をクリアすれば、0.40ドル、さらには0.48ドルのターゲットに向けて道が開ける可能性がある。

ただし、重要なサポートラインである0.30ドルを下回った場合は上昇シナリオが崩れる。週足で0.29ドルを割り込むようなら、短期的な市場構造が弱気に傾く可能性もある。
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