トランプ米大統領は16日、ニューヨーク・タイムズに対し150億ドルの名誉毀損訴訟を提起した。同紙の報道により、大統領の個人ブランドやメディア企業、ソラナ基盤のミームコインに損害が生じたと主張している。
訴訟は月曜日にフロリダ連邦裁判所に提出された。これにより、トランプ氏の主要メディアに対する法的攻勢が一段と強まる形となった。
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トランプ氏の訴状によると、ニューヨーク・タイムズはジャーナリズムの基準を放棄している。同紙は「民主党の全面的な代弁者」として行動したと主張した。訴状では同紙の記事や支持表明のほか、記者のスザンヌ・クレイグ氏とラス・ビュートナー氏による書籍『ラッキー・ルーザー』を問題視している。
訴訟では4人のタイムズ記者も名指しされた。さらに出版社のペンギン・ランダムハウスも対象となっている。トランプ氏はこれらを「虚偽で悪意のある名誉毀損」と批判した。
同氏は報道によりトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループが大きな損失を被ったとしている。また、暗号資産事業への信頼も損なわれたと主張した。トランプ・メディアは同氏が大株主を務めるTruth Socialプラットフォームを運営している。同社は最近、暗号資産分野に大規模投資を実施した。
Truth Socialの投稿で、同氏は「堕落した」タイムズが彼や彼の家族、MAGA運動について「数十年にわたる嘘の手法」を用いていると述べた。
訴状は、タイムズが2024年の選挙キャンペーン中にカマラ・ハリスを支持したことを選挙干渉と非難している。また、書籍の発売が『アプレンティス』映画の予告編と意図的に同時期に行われ、トランプ・メディアの株価が急落したと主張している。
この訴訟は、メディア企業に対するトランプ氏の積極的な訴訟を続けるものである。同氏は最近、ウォール・ストリート・ジャーナルとルパート・マードック、ABCのアンカーであるジョージ・ステファノプロス、パラマウントの『60ミニッツ』を訴えた。和解金は1億5000万ドルを超え、パラマウントは7月に1600万ドルを支払った。
タイムズはこの主張を退けた。
広報担当者は、「この訴訟には根拠がない。独立した報道を抑制し、妨げようとする試みである。ニューヨーク・タイムズは威圧的な戦術に屈しない」と述べた。
トランプ氏のミームコイン、崩壊の危機
訴訟は、彼のミームコインプロジェクトへの評判の損害を明確に関連付けている。このプロジェクトは1月にソラナ上で開始され、彼の就任直前に発表された。公式のトランプコインは当初40ドルを超えて急騰したが、その後急落し、現在は約8.63ドルで取引されており、日々の取引量は約1億7500万ドルで、初期のピークからほぼ80%の減少。
メラニアのトークンはさらに悪化し、数ドルの発行時の高値から2025年9月中旬にはわずか0.20ドルにまで下落。日々の取引量はわずか550万ドルで、トランプのコインと比べて流動性がはるかに弱く、投資家の関心も低下している。
低迷にもかかわらず、トランプ氏とその息子たちは、ワールド・リバティ・ファイナンシャルのWLFIトークンの立ち上げから60億ドル、さらに広範なデジタル資産保有から6億2000万ドルを得たと報じられている。
専門家は、暗号資産がトランプ氏の60億ドルの資産の9%を占めると推定しており、不動産は約半分に減少している。