トランプ大統領は6日、輸入半導体に100%の関税を課す方針を示した。これにより、米国内の暗号資産マイニング事業者の採算性が揺らいでいる。アジア製チップへの依存度が高い中で、設備コストの上昇や事業の海外移転が懸念され、関連株は下落した。
市場の反応と株式の動向
トランプ前大統領は6日、外国製のチップおよび半導体に対して100%の関税を導入する方針を表明した。対象は米国外で製造された製品で、米国内での製造分は対象外とされる。これはアジアを中心とする製造国を標的とした「米国回帰」政策の一環である。
「海外でチップを作るなら、その代償を払うことになる」とトランプ氏は発言。とりわけ暗号資産のマイニング業界では、中国やマレーシア、タイ、インドネシアなどアジア諸国で製造されるASIC(特定用途向け集積回路)への依存が高い。
こうした状況を受け、米国市場では関連銘柄が売られた。マラソン・デジタル・ホールディングスは時間外取引で0.13%下落し、1株15.87ドル。ライオット・プラットフォームズは0.69%安の11.58ドルとなった。
ビットディア・テクノロジーズ(シンガポール)は0.62%下落し12.89ドル、ネバダ州に拠点を置くクリーンスパークは0.18%安の10.98ドル。HIVEデジタル・テクノロジーズは0.94%下落し2.10ドル、ハット8マイニングは0.19%安の20.65ドルで取引を終えた。
投資家の間では、関税引き上げが利益率に与える悪影響を警戒する声が強まっている。新たなマイニングリグの導入が遅れる可能性もあり、企業のコスト構造を直撃しかねない。
業界再編の兆し―拠点の国外移転も
今回の措置により、既存の21%の関税に加えて、ASICの輸入コストが大幅に増加する。多くの米国マイナーにとって、これは事業継続を困難にする要因となり得る。
マイニングプール運営大手ルクソールは、「新たな政策はマイナーの国外移転を加速させる可能性がある」と指摘する。生産拠点を関税の影響を受けにくい地域へ移す動きが広がれば、国際的な製造業者との連携強化も進む見通しだ。
これにより、ビットコインのネットワーク構造における地域分散や、グローバルなマイニング経済の構図にも変化が及ぶ可能性がある。
現時点で、米国は世界のハッシュレート(採掘速度)シェアにおいてトップを維持しているが、今回の政策変更が構造的転換点となる可能性もある。なお、2025年現在、暗号資産市場全体の時価総額は3兆7600億ドルに達している。
業界関係者の間では、マイニング各社が今後どのように適応していくかが注目されている。トランプ氏の保護主義的政策は、国内製造の促進を図る一方で、海外移転を誘発する可能性も孕む。こうした変化がデジタル資産エコシステムに長期的にどのような影響を及ぼすかは、なお不透明である。
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