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セイファート氏、暗号資産ETF急増に警鐘=Bitwiseの26年の11大予測

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編集:
Shigeki Mori

18日 12月 2025年 19:55 JST
Trusted-確かな情報源
  • ビットワイズは、SECの規制簡素化により、2026年までに新たな暗号資産ETFが100本以上誕生すると予測している。
  • ブルームバーグのジェームズ・セイファート氏は、過密化により2026〜2027年にETFの広範な清算が起きる可能性があると警告した。
  • ビットコイン主体のETFは存続が見込まれる一方、特定アルトコイン型商品は飽和状態で閉鎖のリスクが高い。
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米国の暗号資産ETF(上場投資信託)市場が転機を迎えている。運用大手ビットワイズ・アセット・マネジメントが公表した2026年の市場予測では、米証券取引委員会(SEC)が2025年10月に導入予定の新たな上場基準を背景に、暗号資産連動型ETFが100件超新規上場する可能性が示された。

ビットコインやイーサリアム、ソラナが過去最高値を更新するとの強気見通しが広がる一方、ブルームバーグETFアナリストのジェームズ・セイファート氏は、市場の過熱が商品間の競争を激化させ、大規模な淘汰を招く恐れがあると警鐘を鳴らしている。

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Bitwiseが2026年の暗号資産11大予測を公表

ビットワイズは2026年の暗号資産市場とETF市場に関する10の予測を掲げ、投資家が注視するとしている。暗号資産インデックスファンド運用会社によれば、

  • ビットコイン、イーサリアム、ソラナが過去最高値を更新
  • ビットコインが4年周期を破り、過去最高値を付ける
  • ビットコインの変動率はエヌビディアを下回る
  • ETFがビットコイン、イーサリアム、ソラナの新規供給量の100%超を購入するほど、機関投資家需要が加速
  • 暗号資産株がテック株を上回る
  • ポリマーケットの建玉は2024年米大統領選時を超え、過去最高記録
  • ステーブルコインが新興国通貨を不安定化させた原因として批判を浴びる
  • オンチェーン金庫(ボールト)の運用資産残高は倍増
  • イーサリアムとソラナは、CLARITY法案可決時に過去最高値を記録
  • アイビーリーグ大学の寄付基金の半分が暗号資産に投資
  • 100本を超える暗号資産連動型ETFが米国で新規上場
  • ビットコインと株式の相関が低下

2026年にETF大量清算の可能性、ジェームス・セイファート氏

なかでも11番目の予測は注目を集め、アナリストにとって大きな懸念材料となった。多くの暗号資産連動型ETFが登場する背景には、大きな規制改革がある。

SECは2025年9月に、暗号資産を含む商品ベース型信託の株式に関して標準化された上場基準を導入した。

「(複数の主要取引所が)商品ベース型信託株式における標準的な上場基準の導入に向け、SECに規則改正案を提出した。これらの改正案はすべて公告・意見募集の対象となった。本命令はこれらの提案を迅速に承認するものである」とSECの提出書類は述べている。

この変更により、ETFごとの個別審査が不要となり、手続きの遅延や不透明さが解消される。

ビットワイズは、この規制の明確化が2026年に機関投資家の参入と新たな資金流入を加速させるとみている。

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「この点でビットワイズに100%同意する」とセイファート氏は述べた。「暗号資産ETPの大量清算も間違いなく起こると考える。2026年後半から2027年までに相次ぐだろう。発行者はとにかく大量の商品を投下している」

ビットコインETF優位とアルトコイン過熱感

ブルームバーグのデータによれば、既存の暗号資産ETPは90本、運用資産残高は1,530億ドルに達し、さらに125件の上場申請が保留中である。ビットコインは60本のETFで1,250億ドルを集め、イーサリアムは25本で220億ドルに上る。

XRPやソラナなどのアルトコインはそれぞれ11~13本、運用資産は15~16億ドルとニッチな存在にとどまり、市場の飽和リスクが高まりつつある。

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The state of crypto ETFs/ETPs
暗号資産ETF/ETPの現状 出典:ブルームバーグのジェームズ・セイファート氏(X)

市場が今後さらに供給過剰となる中、投資家獲得競争が本格化するとアナリストは予想する。一方で、過去の傾向を踏まえれば警戒も必要で、2010年以降に上場したETFの約40%は最終的に資産や出来高不足のため閉鎖された例がある。

暗号資産ETF淘汰で明暗 勝者・敗者と「ゾンビ資産」台頭

セイファート氏の警告は、急拡大がしばしば統合と淘汰の前触れであるという、より大きな懸念を反映している。十分な運用資産残高を確保できず、差別化や強固な流通ネットワークを持たない暗号資産ETFは、早期に閉鎖される可能性が高い。

一方で、特定のエクスポージャーや収益機能、リスクプロファイルに特化した商品は、長期的な地位を確立できるだろう。

リキッド・コレクティブのクリス・マッタCEOも「ゾンビ」プロジェクトの文脈で同様の懸念を示し、時価総額が10億ドルを超えても開発が停滞した暗号資産の存在に言及した。

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「従来市場でETFが維持できなかった場合、その結果として暗号資産の“生存組”と“死に体”の間で、パフォーマンス格差が拡大する明確なシグナルとなるかもしれない」とマッタ氏は述べている

このため、ETF市場に参入する投資家は、より厳しい選別が求められる。流動性、指数追随精度、手数料構造、運用会社の信頼性などが、持続可能な商品と失敗する商品を分ける。

一方、ビットワイズの強気な見通しは、主要資産に連動するETFに関しては機関投資家資金が継続的に流入し続ける可能性を示唆している。

2027年末までに予想される一連の清算により、業界は再編され、資本が最も強い商品に集約される見通し。

この動きは業界に大きな影響を与えるが、最終的には米国の暗号資産ETF市場を強化する可能性がある。

  • 脆弱な商品を排除し、
  • 投資家に選択肢を明確にし、
  • 差別化された戦略を際立たせる点

問いは残る。ETF市場が過密化する中で、どの商品が生き残り、どの商品が忘れ去られた暗号資産の「ゾンビ」資産の仲間入りを果たすのか。

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