米ドル指数(DXY)は、9月の米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ後に反発し、10月に再び利下げが見込まれる中で2か月ぶりの高水準に達した。
この動きは、多くの暗号資産市場アナリストの予想と逆行しているように見える。なぜこうした現象が起きているのか、そして市場にどのような影響を及ぼす可能性があるのかを探る。
SponsoredFRBの利下げにもかかわらずDXYが上昇している理由
一般的に、FRBの利下げはドル安を意味する。投資家は価値を維持するために、金や暗号資産といった代替資産へ資金を移す傾向がある。
しかし、実際には9月中旬の利下げ以降、DXYは96.2ポイントから98.9ポイントまで着実に上昇し、2か月ぶりの高値を更新している。
INGの為替ストラテジスト、フランチェスコ・ペソーレ氏は、ドル高の背景にフランスや日本の政治的不安定があると指摘している。これによりユーロと円が下落し、DXYバスケット全体の71%を占める構成通貨が弱含んだ。
また、投資家のトム・キャピタル氏は、商品取引アドバイザー(CTA)がドルを再び買い戻していることが上昇を後押ししていると分析した。
さらにアナリストのアクセル・アドラー・ジュニア氏は、10月初旬に発生した米政府の閉鎖がDXY上昇を促した可能性を指摘。政府閉鎖により経済データの公表が遅れ、FRBによる追加利下げの議論が後退したことが、ドル反発に追い風となったとみられる。
Sponsored市場アナリストのザ・グレート・マーティス氏は、欧州で政治・経済の不確実性が続く中、DXYの上昇基調は当面維持される可能性があると述べた。
ヨーロッパが深刻な逆風や政府の混乱、債券の売り圧力、債務返済負担の増加に直面している中で、ドル指数は今後数週間でさらに上昇する可能性がある。 —— ザ・グレート・マーティス(発言元)
ビットコインと暗号資産市場への影響
最近のビットコイン下落は、DXYの回復とタイミングを同じくしており、両者の間にかつて見られた逆相関が再び強まっていることを示している。
テクニカル面では、アナリストが2つの重要シグナルを指摘している。第一に、DXYが14年続いた長期サポートラインを再び上回った点。第二に、逆ヘッド・アンド・ショルダーのパターン形成が確認され、弱気トレンドから強気トレンドへの転換を示唆している点だ。
これらの要因は、DXYのさらなる上昇の可能性を裏づけるものである。仮にこの上昇トレンドが10月を通じて続けば、ビットコインにとって逆風となり、価格変動を複雑化させる可能性がある。
DXYは依然として上昇基調にある。今はビットコインや暗号資産市場で“落ちてくるナイフ”を掴むべきタイミングではない。 —— ImNotTheWolf(発言元)
一方で、多くの投資家はDXYの反発を一時的な現象とみなし、長期的にはビットコインに追い風が吹くと見ている。10月の追加利下げへの期待や、金価格の連続最高値更新などが、ドルが長期的な投資先として魅力を欠いていることを示している。