トランプ米大統領は7日、経済諮問委員会(CEA)議長のスティーブン・ミラン氏を連邦準備制度理事会(FRB)の理事に指名した。暗号資産に積極的な姿勢を示す経済学者で、アドリアナ・クグラー氏の後任として2026年1月までの任期を務める見通しだ。市場では、低金利とデジタル資産に配慮した金融政策への転換を促す可能性があるとの見方が広がっている。
暗号資産推進派の経済学者
ミラン氏は暗号資産の経済的潜在力について繰り返し発言してきた。金融情報サイト「The Bitcoin Layer」のインタビューでは次のように述べている。
”金融の規制緩和がその一部として強力になると思う。暗号資産はイノベーションにおいて大きな役割を果たし、次のトランプ政権の経済ブームをもたらす可能性があると考えている”
同氏は財務省勤務やウォール街の投資会社ハドソン・ベイ・キャピタルでの経験を持つ。かつてはFRBの大規模な新型コロナ対策を「インフレを招く」と批判したが、足元ではトランプ氏が求める低金利政策に賛同している。今回の人事は、トランプ氏がパウエル議長の金融政策に対抗する「影の議長」的存在を求める中で浮上した。

指名には上院の承認が必要で、承認されれば9月中旬のFOMC(連邦公開市場委員会)で初めて金利決定に参加する見通しだ。市場関係者の間では、同氏が利下げ支持派として議論を後押しするとの見方が出ている。
トランプ氏が起用した2人の理事は先週の会合で政策金利据え置きに反対票を投じた。複数の理事が金利決定に異議を唱えるのは約30年ぶりだ。
市場に波及する可能性
ミラン氏の就任は、暗号資産市場に新たな追い風となる可能性がある。同氏が掲げる規制緩和と緩和的金融政策は、ビットコインやイーサリアムなどの価格にプラスに働きやすい。これらの資産は一般的に低金利・高流動性環境で上昇基調を強める傾向がある。
ミラン氏は2023年11月、SNS「X」にこう投稿している。
“最近の数十年での「イノベーション」の何割が単に規制を回避することによるものか、驚かされることが多い。ウーバー、暗号資産、エアビーアンドビー…”
また、バイナンスのチャンポン・ジャオCEO辞任の報を受け、次のようにも述べた。
“バイナンスがイランやハマスの資金調達を助けるなどの悪事を行った一方で、多くの規制を実際に簡素化すべきかもしれない”
こうした見解と市場環境の相性は良く、就任が価格上昇の「カタリスト(触媒)」となる可能性もある。ハドソン・ベイ・キャピタル在籍時には、同社が破産したFTXの債権取引にも関わった。急成長するデジタル資産分野での経験は、政権の政策形成にも直結するとみられる。
指名が報じられた後、ビットコインは約2%上昇し、117000ドルを突破した。
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