戻る

米家計の所得減速、26年に暗号資産投資余力は低下か

editor avatar

編集:
Shigeki Mori

17日 12月 2025年 11:05 JST
Trusted-確かな情報源
  • 米国の労働統計は可処分所得の伸び鈍化を示し、暗号資産などリスク資産への小売資本を制限する結果となった。
  • 小口投資家主導の流動性が先に枯渇するため、アルトコインはビットコインよりもリスクが高い状況だ。
  • 日本銀行の引き締めリスクによる機関投資家の慎重姿勢が、暗号資産の短期的な上昇を抑制する可能性がある。
プロモーション

米国の主要な経済指標が、リスク資産市場に変調の兆しを示し始めた。最新の労働関連統計では、2026年にかけて家計所得の伸びが鈍化する可能性が示唆されており、個人投資家の投資余力に影響を及ぼす局面に入りつつある。

とりわけ価格変動の大きい暗号資産は、家計の可処分所得の変化を受けやすく、今後は資金流入が緩やかに減少するとの見方が広がる。現時点では金融システム全体を揺るがす構造的な危機ではないものの、需要面の弱含みが市場心理を冷やす要因となっている。

Sponsored
Sponsored

米労働統計、可処分所得の伸び鈍化示唆

最新の非農業部門雇用者数(NFP)統計では、就業者の純増は控えめで、失業率は上昇した。賃金の伸びも減速し、家計の所得基調が弱まっている。

可処分所得は暗号資産の普及に重要だ。個人投資家はレバレッジではなく、余剰資金をリスク資産に投じる傾向がある。

賃金が伸び悩み雇用の安定性も揺らげば、まず最初に裁量的支出が削減される。その対象には投機的な投資も含まれる。

米国の雇用成長推移 出典: X/Jed Kolko

個人投資家が最大のリスク、先に影響受けるのはアルトコイン

アルトコイン市場では、リテール(個人)投資家の参加がビットコイン以上に大きな割合を占める。小型トークンは高リターンを求める裁量的な個人資金に大きく依存している。

Sponsored
Sponsored

一方でビットコインは、機関投資家やETF、長期保有者の資金が流入する。結果、流動性が高く、下落局面でも耐性がある。

米国人の投資余力が減れば、まずアルトコインが打撃を受けやすい。流動性が早期に枯渇し、価格下落が長引くこともある。

リテール投資家は支出を賄うためにポジションを手放す動きも強まる。その売り圧力は特に時価総額の小さなトークンに重くのしかかる。

平均暗号資産RSIは売られ過ぎ水準付近で推移 出典: CoinMarketCap
Sponsored
Sponsored

所得減少は価格低下を意味せず 購買動機に変化

所得が減少傾向でも、資産価格が上昇する局面もある。それは金融政策がより緩和的となり、資金供給が増える場合が多い。

労働市場が鈍化すれば、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げの余地を持つ。金利低下は家計の需要よりも流動性増加を通じて資産価格を押し上げる。

暗号資産の場合、この違いは重要だ。流動性主導の上昇相場は、マクロの衝撃に脆弱で不安定になりやすい。

日本発機関投資家に逆風

リテール弱含みだけが全てではない。機関投資家も慎重姿勢を強めている。

日銀による利上げ観測はグローバルな流動性に影響を及ぼす。長年リスク資産を支えてきた円キャリートレードの巻き戻しリスクが出てきた。

Sponsored
Sponsored

日本で調達コストが上昇すれば、機関投資家は世界各地でリスク資産のエクスポージャーを縮小しやすい。暗号資産、株式、社債などすべてに波及する。

現状の主な懸念は崩壊ではなく、需要の薄さだ。所得の伸び悩みでリテール投資家が後退し、流動性逼迫で機関投資家も様子見姿勢を強める可能性。

足元では、アルトコインが最も脆弱な地合いだ。一方、ビットコインは減速の吸収力が高い。

今、暗号資産市場は個人のモメンタム相場からマクロ要因主導の慎重局面に移行しつつある。

この転換は2026年前半の市場環境を左右する可能性。

免責事項

当ウェブサイトに掲載されているすべての情報は、誠意をもって作成され、一般的な情報提供のみを目的としています。当ウェブサイトに掲載されている情報に基づいて行う一切の行為については、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

スポンサード
スポンサード