Zcashは足元の取引で明確な反発局面を描けず、主要なレジスタンス水準を下回る軟調な値動きが続いている。暗号資産市場全体で調整局面が意識されるなか、同トークンも売り圧力にさらされている格好だ。
一方で、オンチェーンデータからは異なる動きも浮かび上がる。大口保有者は価格下落を警戒材料とは受け止めず、中長期を見据えた買い増し局面と判断した可能性が高い。実際、一定規模以上を保有するアドレスのZcash保有量は直近で21%増加しており、価格と投資行動の乖離が鮮明になっている。
Zcashクジラが買い増し進行
オンチェーンデータによれば、Zcashのクジラの間で自信が高まっている。資産1百万ドル超のウォレットは、過去1週間でZECの保有量を21%増加させた。この層は3,207ZECを買い増し、総保有量は6,681ZECとなった。価格下落局面での一貫した買い増しを示している。
Sponsoredこの増加分は約127万ドルの追加エクスポージャーに相当し、大口投資家の確信を示す。クジラの買い増しは売り圧力を吸収し、下値を支えることが多い。この行動から、価格回復や大きな値動きへの備えとして、強気な期待感が読み取れる。
トークンのテクニカル分析と市場の最新情報:さらに詳細なインサイトをご希望の場合は、編集者ハルシュ・ノタリヤが毎日お届けするニュースレターにご登録ください。こちら
マクロ指標も強気なオンチェーントレンドと一致しつつある。スクイーズ・モメンタム・インジケーターがスクイーズ状態となっており、ボラティリティの低下局面が続いている。こうした局面の後には、スクイーズ解消で急激な価格変動が起こることが多い。
とりわけ、ヒストグラムは3週間ぶりに強気なモメンタムの強まりを示している。ボラティリティ拡大とともにモメンタムが維持されれば、Zcashが急騰する可能性も出てくる。
ZEC価格、回復の兆し
Zcashは本稿執筆時点で396ドル付近で取引されており、403ドルのレジスタンスを下回っている。パラボリックSARはローソク足の上に位置し、下落トレンドの継続を示している。オンチェーンやモメンタム指標の改善にもかかわらず、弱気圧力が依然残る格好だ。
クジラの買い増しやモメンタム強化は、足元のテクニカルな弱さを相殺する可能性がある。これらの要因が続けば、ZECは442ドルのレジスタンス突破を目指す展開となりうる。この水準をサポートへ転換できれば重要な意味を持つ。継続的な上抜けなら500ドルが視野に入り、幅広い強気センチメントの回復につながる。
一方で、モメンタムが実現せずクジラ行動が変化した場合はリスクとなる。弱含みが継続すれば、ZECは340ドルのサポートを割り込む可能性もある。さらに大きな売りが出れば、300ドルや260ドルまで下落が拡大する恐れもある。その場合、強気シナリオは否定され、下値圧力が強まる展開となる。