暗号資産投資家のリスク志向が高まるにつれ、新たな「アルトシーズン」のナラティブの魅力が増している。2025年には、いまは目立たない外部要因が特定のナラティブを一気に主役へ押し上げる可能性がある。
それらのナラティブとは何か、なぜ重要なのか。投資家が資本を投じるうえで、どんなリスクが潜んでいるのか。以下で詳しく掘り下げる。
Sponsored1. トークン化された金貨
2025年の金価格は連日で最高値を更新。この上昇トレンドは、トークン化された金プロジェクトに投資家の視線を集める強固な土台となる。
現時点で同セクターのアルトコインはまだ少なく、Coingecko上の掲載は20種類未満。その中でテザーのTether Gold(XAUT)とPaxosのPAX Gold(PAXG)が時価総額上位を占める。
最大のハードルは、発行主体が保管する実物の金による裏付けが不可欠な点。これが参入コストを押し上げ、スタートアップや小規模事業者には参入障壁となっている。
トークン化された金の概念自体は新規性に欠けるものの、専門家は金価格の上昇継続を見込み、同分野の投資妙味はむしろ強まっている。
世界経済の不確実性が「安全資産」への需要を押し上げるなか、トークン化された金はポートフォリオの分散とWeb3統合の両立手段となり得る。
Sponsored Sponsored7月には、BioSig Technologies, Inc.とStreamex Exchange Corporationが、金裏付けの財務管理戦略の開始に向け、最大11億ドルの成長資金調達で最終合意に達したと発表。Streamexはソラナ上で金をトークン化する方針だ。
「トークン化された金はビットコインの昼食を奪うだろう。実物金の所有権を表すコインがあるなら、米ドルのステーブルコインは不要だ」
エコノミストのピーター・シフ
2. ロボティクストークン
Statistaによれば、世界のロボット産業は急拡大しており、市場規模は2029年までに730億1,000万ドルへ。2025〜2029年の年平均成長率は9.49%が見込まれる。
牽引役は、米国(2025年に104億5,000万ドル、Statista)、中国、日本など大市場での製造・医療・物流の自動化需要。加えてAI/機械学習の統合がロボット性能を引き上げ、新たなイノベーションを促す。
Sponsored Sponsoredロボット×暗号資産は、2023年初頭の「AI×暗号資産」を想起させる次の大波となる可能性がある。ロボティクストークンはロボット企業の「トークン化株式」に近い形で機能するか、研究開発資金の手当て手段となり得る。
Coingeckoも専用カテゴリを設けたが、総時価総額は約3億ドルと発展途上。
Moonrock Capitalのサイモン・デディックは、暗号資産とロボットの融合に大きな将来性を見いだす。
Sponsored「暗号資産×ロボットは、小売投資家にとって過去最大級の破壊的グローストレンドになる。将来の数兆ドル産業に、いま時価総額2億4,400万ドルで流動的に入札できる——それが暗号資産の特異点だ」
サイモン・デディック
3. トークン化されたカードゲーム
トークン化カードゲーム市場は変革の初期段階にあり、Bitwiseは、Polymarketが予測市場を再発明したのと同様の爆発的成長を予見する。
Forward Guidance共同ホストのタイラー・ネヴィルは、2005〜2025年頃の各資産の投資パフォーマンス比較チャートを提示。ポケモンカード、Meta Platforms、野球カード、S&P500を並べ、収益を生まないコレクティブルでも、通貨価値の希薄化や市場変動下で「正当な投資」と見なされる傾向を示した。
短期シグナルとしては、PhygitalsやCollector Cryptなどのプロジェクトで、9月に取引量が急増。カードのトークン化が二次流通を活性化している。
以上の3テーマ――トークン化金貨、ロボティクストークン、カードゲーム――は、伝統資産・先端テック・デジタル文化の潮流を掛け合わせ、成長余地を秘める。ただし、持続性や資本流入の規模は、個別プロジェクトの完成度や投資家需要の強度に大きく左右される点は忘れてはならない。