暗号資産デリバティブ市場は、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)のオプションが本日満期を迎え、総額60億ドル超に達する中、大きな試練に直面している。この満期を契機に、トレーダー間での戦略的再配置や週末に向けたボラティリティ拡大の可能性が高まっている。
ビットコインとイーサリアムのオプション満期、60億ドル超の取引
Deribitのデータによると、ビットコインの最大ペイン価格(最も多くのオプションが無価値となる行使価格)は11万7,000ドル。本稿執筆時点でBTCは11万8,995ドルで推移しており、わずかに上回っている。
満期を迎えるビットコインオプションのプット・コールレシオ(PCR)は0.90で、プットよりコールがやや多い。最大ペイン価格を上回っている状況下で、強気のポジションが優勢であることを示している。ビットコインオプションの名目総額は47億8,000万ドル、オープンインタレスト(OI)は4万185契約に上る。

一方、イーサリアムの最大ペイン価格は4,000ドルで、現行価格4,629ドルを大きく下回る。満期を迎えるETHオプションのPCRは1.02で、ややプットに傾いた均衡状態を示している。
この指標は、現在の価格水準に対し投資家が一定の調整を見込んでいる可能性を示唆する。ETHオプションの名目総額は13億3,000万ドル、OIは28万7,946契約。

今回の満期規模は、先週の約50億ドル分の契約が失効した際をやや上回る。Greeks.liveによると、今週金曜の満期はマクロ経済指標による予期せぬ調整後に発生しており、市場心理は依然としてブル基調に傾いている。
同社アナリストは、ビットコインがATHを更新し、ETHが高値に迫った直後、市場は予想外に強いPPI(生産者物価指数)を背景に調整したと分析する。コアCPIは再び+3%を超え、PPIは2022年3月以来の高水準となる3.7%を記録。予想2.9%、前月2.6%を上回った。
それでもGreeks.liveは、オプション市場で主要期間のIV(インプライド・ボラティリティ)やスキューの変動は比較的小さいと報告している。
記録的取引量と強い買い圧力
Deribitのオプション取引量は109億ドルに達し、初めて1日で100億ドルの大台を突破した。
高い取引熱は市場が下落を懸念していないことを示し、ブル相場継続の可能性が高い
一方で、市場には二極化した見方がある。無尽蔵の買い意欲と上昇モメンタムを指摘する声がある一方、BTCが12万2,000ドル、ETHが4,700ドル付近でローカルトップを付ける可能性を警戒する見解もある。
市場メーカーは圧倒的な買い圧によりアスクを引き下げ、1,000万ドル規模の出来高を示すローソク足は機関投資家の買い集めを示している
Greeks.live
報告によれば、あるトレーダーは来週の高値を見込み、11万5,000ドルのBTCプットを売却する戦術を取った。集中したOIと記録的取引量により、本日の満期は短期的に価格を最大ペイン価格に引き寄せる可能性がある。
通常、Deribitでオプションが8:00 UTCに満期を迎えた後は市場が落ち着きを取り戻し、参加者は新たな取引環境に適応していく。それでもトレーダーは、満期後の値動きを注視し、買い圧モメンタムが続くのか、利益確定が調整を誘発するのかを見極める必要がある。
旺盛な需要、機関投資家の関与、マクロ要因による不確実性が、暗号資産市場における高リスクな週末の舞台を整えている。
Follow us on:
X(Twitter):@BeInCryptoJapan
Telegramチャンネル:@BeInCrypto Japan オフィシャルチャンネル
免責事項 - Disclaimers
当ウェブサイトに掲載されているすべての情報は、誠意をもって作成され、一般的な情報提供のみを目的としています。当ウェブサイトに掲載されている情報に基づいて行う一切の行為については、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
