現物型ビットコインとイーサリアムの上場投資信託(ETF)で30日、大幅な純流出を記録した。米国の投資家がそれぞれ約4億7100万ドルと約8144万ドルを引き出した。
これらの動きは、マクロ環境と米国暗号資産市場のセンチメント悪化への懸念を反映する。
Sponsoredマクロ経済動向がETF資金流出を促す
水曜日、米国の現物型ビットコインETFは約4億7100万ドルの純流出を記録した。ビットコイン連動の主要12本で流入はゼロだった。同様に、現物型イーサリアムETFの合計純流出は約8144万ドル。
データ提供元のSoSoValueによると、ビットコインETFの流出で市場は「恐怖」圏に入った。Fear & Greed Indexは100点満点中34。前日の51から低下。
この流出は広範なマクロ逆風と重なる。投資家は金利上昇、米国のインフレ圧力、デジタル資産の規制不確実性を懸念。機関と個人はリスク配分を見直している。暗号資産ETFを含む高ボラ資産から資金を移す。資金調達コストの上昇と金融引き締めが、暗号資産ETFのような投機的商品への圧力を間接的に強める。
流出規模は、暗号資産関連ETFがマクロのセンチメントに極めて敏感であることを示す。景気シグナルの悪化で流入基調が急反転し得る。
投資家センチメントとポートフォリオ再配分
市場参加者は、直近の資金引き揚げが戦略的リバランスと慎重姿勢に由来すると指摘。投資家は過去の上昇後に利益確定に動いた可能性。企業決算や経済指標の公表前に資金を再配分する動きもある。流動性リスクや他資産の証拠金圧力で、償還請求が出たファンドもある。
SponsoredイーサリアムETFでは、ETHA(ブラックロックの商品)が例外だった。同日、同グループで唯一の純流入を記録。低コストや規模、ブランド力など特定の特徴への選好を示す。
さらに、現物型ソラナETFへの4650万ドルの顕著な流入が目立った。広範な流出基調下でも、ビットコインとイーサリアム以外へのシフトを示唆。
米国の暗号資産ETFエコシステムへの影響
看板のビットコインとイーサリアムETFからの大規模流出は、米国の暗号資産ETFエコシステムの強靭性に疑問を投げかける。直近まで流入が続いたが、急転はこの新興資産クラスへの信認の脆さを浮き彫りにした。
ETFの資金流出入は、センチメント、流動性選好、機関投資家の関与の指標となる。Fear & Greed Indexの低下と流出規模を、マクロ要因への反応とみる分析もある。「faster money(短期資金)」が、暗号資産市場の深刻な構造問題に先んじて退避しているシグナルと解釈。
流出が続けば、暗号資産の評価に下押し圧力がかかる。セクターの将来の資金調達も鈍る恐れ。手数料体系、流動性、ポジショニング、ブランド信頼が、資金の集散を一段と左右する。
暗号資産市場全体では、機関の関心は続く。ただし、主流ポートフォリオへの定着は、マクロ安定、規制の明確化、商品の成熟に依存する可能性。