明日から、英国の小売投資家はビットコイン(BTC)を参照する上場投資証券(ETN)を購入できるようになる。これは2021年に導入された暗号資産ETNの販売禁止が解除されることを意味する。
規制当局の方針転換は市場関係者から歓迎されているが、専門家の間では「これだけでは十分ではない」との声も多い。直接的な暗号資産へのアクセスが依然として制限されており、英国がデジタル資産拠点として再び地位を確立するにはさらなる改革が必要だと指摘されている。
Sponsored英国、4年ぶりに暗号資産ETN禁止を解除
10月8日、英国金融行動監視機構(FCA)は小売投資家向けの暗号資産ETN販売禁止を正式に撤廃する。この決定は、英国の暗号資産政策における重要な転換点となる。
上場投資証券(ETN)とは、金融機関が発行する無担保の債券の一種であり、特定の指数や市場ベンチマークのパフォーマンスを追跡するよう設計された金融商品である。投資家は暗号資産そのものを保有せずに、その価格変動に連動した利益を得ることができる。
今回の解除により、小売投資家もビットコインやイーサリアムを参照するETNを購入可能となる。ただし、これらの証券はロンドン証券取引所など、FCAが承認した市場で上場される必要があり、厳格な開示および販売基準を満たさなければならない。
暗号資産を直接保有したくない、または保有に必要な知識・管理体制を持たない投資家にとって、ETNは参入障壁を下げる手段となる。ノート購入により、投資家は暗号資産を間接的に保有できるためだ。
「アクセスを拡大することは重要だ。ETNの制限解除は正しい方向への一歩であり、英国がこの勢いをどう活かすかが次の焦点だ」とビットコイン・ポリシーUKのスージー・バイオレット・ワードCEOはコメントした。
FCAの決定は、全面的な禁止から「規制下での容認」へと移行する象徴的な動きといえる。
Sponsored「象徴的な一歩」:ETNだけでは不十分な理由
英国はここ数年、デジタル資産分野での国際競争に遅れを取っている。特に税制の複雑さや過剰な規制が、投資家や企業の国外流出を招いてきた。
2021年、FCAは小売消費者に対する暗号資産関連デリバティブおよびETNの販売を全面禁止した。当時の理由は、極端なボラティリティと市場操作のリスク、資産評価の難しさなどによる「消費者保護」の必要性だった。
今回、ETNの販売は禁止解除されたものの、先物・オプションなどのデリバティブ取引は依然として規制対象のままであり、小売投資家は利用できない。
ワード氏はこの点について、「FCAの制限的アプローチは消費者を守るどころか、単に選択肢を狭め、市場アクセスを妨げた」と指摘している。
「英国が遅れを取ったのは、関心がなかったからではなく、過剰規制がイノベーションを抑制し、チャンスを海外へ流出させたからだ。FCAの方針は保護ではなく制約を生んだ」とワード氏はBeInCryptoに語った。
ワード氏によれば、今回の解禁は進展ではあるが、英国が真に競争力を取り戻すための第一歩に過ぎないという。
「ETNはあくまで債務証券であり、現物ビットコインETFのように裏付け資産を保有しているわけではない。より複雑で信用リスクを伴う商品で市場を開くのは不思議な選択だが、それでも歓迎すべき進歩だ」と彼女は述べた。
最終的に目指すべきは、小売投資家が暗号資産に直接アクセスできる仕組みの実現だと彼女は強調する。
「適切に設計され、透明性のある現物ビットコイン商品を解禁することこそ、金融イノベーションと投資家保護の両立を示す真の改革だ。象徴的な一歩に留まらず、世界をリードする姿勢を示すべきだ」とワード氏は締めくくった。