コインベースのブライアン・アームストロングCEOは19日、ビットコインはサトシ・ナカモト氏が思い描いた「日常使いのデジタルマネー」にはならなかったと述べた。同氏によれば、ビットコインは「デジタルゴールド」となり、決済の役割はステーブルコインが担うようになった。
ビットコイン(BTC)は約6万4523ドルで推移し、2025年10月の過去最高値12万6080ドルから約45%下落している。一方で、ステーブルコインの供給量は過去最高水準に近づくなど、逆の動きをみせている。
アームストロングCEO、ビットコイン本来の役割を再考
アームストロングCEOは、Zerodha共同創業者ニキル・カマス氏が司会を務めるポッドキャスト「People by WTF」で意見を述べた。カマス氏は自称「暗号資産懐疑派」で、コインベースCEOに「ビットコインは本来の設計通りに機能しているか」と率直な質問を投げかけた。
「おっしゃる通り、現時点でビットコインが価値の保存手段としては成功したと言ってよいだろう。ただ、決済手段にはなっていないと考えている」とアームストロングCEOは答えた。
ビットコインがサトシの構想から逸れた理由
ナカモト氏の2008年のホワイトペーパーでは、「銀行を介さずオンラインで動く現金」の実現が約束されていた。ビットコインの最初のブロックには、2009年当時のイギリス銀行救済に関する新聞見出しが刻まれていた。それがビジョンだった。
あれから17年が経ち、アームストロングCEOは「決済の夢は実現しなかった」と振り返る。改善策も試行されたが、定着しなかった。
「ライトニングネットワークで実現しようと試みた人々もいた。ビットコインの上に最適化レイヤーを作る試みだったが、実際には大きく普及しなかった」
より根本的な問題は、ビットコイン自体の設計にある。供給量に上限があり、保有者は金と同様に資産を保有する傾向が強い。
アームストロングCEOは「将来さらに価値が上がると多くの人がみており、いま使おうとは思わない」と指摘した。価格変動の大きさも消費活動を阻む要因とした。
決済の役割はステーブルコインが担う
こうした空白を埋めたのがステーブルコインだ。ドル連動型トークンは「退屈な決済の役割」を果たすようになった。いまも銀行は従来の金融インフラを守ろうとしているが、役割は徐々に移りつつある。
「実際、ブロックチェーン上でのステーブルコインの成長は著しい。法定通貨担保のステーブルコインが決済手段となり、ビットコインは価値保存、すなわちデジタルゴールドに位置付けられている」
データもこの傾向を裏付ける。DefiLlamaによれば、ステーブルコインの供給量は約3100億ドル。テザー(USDT)は1840億ドル、サークル(USDC)は730億ドルとなっている。
アームストロングCEOは、2025年7月に成立したGENIUS法が、こうしたトークンの合法性と信頼性を米国で高めたと指摘。同分野の多くの取り組みは今、Baseやソラナ上で展開されている。
それでもなお、アームストロングCEOは「失敗」とは認識していない。同氏は「ビットコインは別の役割を見つけた」との見方だ。
「ビットコインのブロックチェーンもそれを受け入れている。高頻度の決済用とする意図はなく、デジタルゴールドとなることが役割だ」









