トランプ米大統領が19日、サッカー・ポルトガル代表クリスティアーノ・ロナウド氏をホワイトハウス晩餐会に招いたとの報道に加え、政権で暗号資産政策を担当するデービッド・サックス氏が関連写真を投稿したことで、市場では政権の友好的姿勢が再び意識されている。ビットコイン価格は20日未明から反発基調となり、短期的な上昇観測が広がりつつある。
トランプ政権の演出がビットコイン市場心理に影響か
米国のトランプ政権を巡る一連の動きが、ビットコイン相場の短期的な反発要因として市場で注目されている。トランプ大統領は19日、サッカー選手クリスティアーノ・ロナウド氏をホワイトハウス晩餐会に招いたとする報道が国内メディアで伝わった。トランプ氏は同氏を招いたことについて「光栄だ」と語ったとされ、文化的象徴性を伴う大統領側のメッセージとして受け止められている。
Sponsoredさらに、同政権でAIおよび暗号資産政策を統括するデービッド・サックス氏が、自身の公式Xに晩餐会の様子を写した写真を投稿した。
サックス氏は、政権内で暗号資産に前向きな政策立案を主導する立場にあり、その動向はこれまでも市場心理に一定の影響を及ぼしてきた。今回の投稿も、政権が暗号資産ビジネスに対して継続して友好的であるとの印象を市場に与えた可能性がある。
ビットコイン価格は20日朝から反発、短期センチメントに変化
ビットコイン価格は20日朝、前日までの軟調な推移から反転し、短期的な買いが優勢となる局面が見られた。
Sponsored Sponsored背景には、米金利の動向や主要ETFへの資金流入の増加など複数の要因が指摘されるものの、今回の政治的イベントと暗号資産政策責任者による投稿が、投資家のリスク選好をわずかに押し上げたとの見方もある。
暗号資産メディアの共同創設者ロブ・ウォレス氏(@_Rob_Wallace)は、「どれだけのビットコインがこの部屋に集まっているのか」と示唆する投稿で、晩餐会の写真をリポストした。
特に、トランプ政権は就任以降、証券規制の明確化やマイニング関連産業への税制優遇の検討など、市場にとってプラス材料とされる政策を相次いで示してきた。これらが相まって「米国は暗号資産産業を成長分野として扱う」という認識が投資家の間に広がりやすい地合いとなっている。11月に入り、現物ETFの純流入額は増加傾向にあり、市場の基調が徐々に回復していることも今回の反発を後押しした。
トランプ氏は過去にも暗号資産関連の関係者を招いたイベントを行っている。2025年5月22日には、自身の関連ミームコイン「$TRUMP」の大口保有者を招いたプライベートディナーが開催され、当時は関連トークンの価格が急騰したことが報じられた。
今回の晩餐会にはイーロン・マスク氏をはじめ、暗号資産市場で影響力を持つ人物が複数出席したとみられ、政権がデジタル資産分野に関心を寄せ続けているとの受け止めが市場に広がった可能性がある。
Sponsored短期的には上昇余地=ただし過度な因果関係には注意が必要
市場では、今回の一連の報道が即座に価格形成へ直結したとは言い切れないとの慎重な声が多い。ビットコインはマクロ要因、流動性、ETFフロー、リスク選好の変化が複雑に絡み合うため、単一のイベントによる影響を過度に評価することは適切ではない。
ただし、政治イベントが短期センチメントに与える影響は無視できず、今回のようにトランプ大統領と世界的スターであるロナウド氏の組み合わせは、暗号資産市場にも象徴的効果を及ぼしやすい。実際、学術研究では、有名人や政府関係者による暗号資産へのポジティブな言及がビットコインの価格上昇と統計的に関連するとの指摘がある。
また、サックス氏の投稿が示すように、政権内部が暗号資産政策の明確化と産業育成に向けた姿勢を維持していることは、市場に安心感を与える。ビットコインは節目となる価格帯を回復しており、テクニカル指標でも短期の上昇余地を示すシグナルが点灯している。
市場全体が持ち直しつつある状況も踏まえ、22日以降の商いでは上値を試す展開となる可能性がある。ただし、米経済指標や金利動向次第では変動が大きくなる可能性もあり、慎重な姿勢が求められる。