ビットコインを戦略資産として保有するデジタル資産財務(DAT)企業の株価が急落し、ビットコイン価格に新たな逆風となる可能性が浮上している。
オンチェーン分析プラットフォームCryptoQuantの最新レポートは、ビットコインの低調な価格推移が続くと負のフィードバックループが発生し得ると警告している。
PIPEとは何か
レポートは、公開株式への私募(PIPE)を通じて資金調達したビットコイン保有企業に焦点を当てた。分析では株価の顕著な下落が確認された。
SponsoredPIPEは、公開企業が新株や転換証券を特定の機関投資家へ割安で販売する仕組み。迅速な資金調達が可能となる一方、既存株主の持分希薄化と株価圧力という副作用がある。
2025年、多くのビットコインDAT企業がPIPEを活用した。当時は強気相場で副作用は軽視されたが、CryptoQuantはその後これらの企業の株価が大幅に下落したと指摘している。
DAT企業は悪循環の下落
例えば、DAT企業Kindly MD(NAKA)は、4月末に1.88ドルだった株価が1か月で34.77ドルまで急騰(18.5倍)。しかしその後97%下落し、1.16ドルの安値に到達。現在はPIPE価格1.12ドル付近で取引されている。
CryptoQuantは、Strive(ASST)、Cantor Equity Partners(CEP)、Empery Digital(EMPD)など他のDAT企業も株価が42〜97%下落したと指摘。一部の銘柄は依然PIPE価格を上回っているが、さらに最大50%の下落余地があると分析する。
これら企業は大量の暗号資産を抱えるが、市場評価はそれ以上に速いペースで縮小。市場価値対純資産価値(mNAV)の急減がその傾向を裏付ける。
ビットコインの価格下落を引き起こすドミノ効果
ビットコイン価格が低迷する中でDAT株は下落。これがPIPE投資家の売却を促す。調達手段を失った企業は現金確保のために保有BTCを売却せざるを得ず、ビットコイン価格にさらなる下落圧力をかける。
結果として、ビットコイン価格とDAT株価が連動して下がる負のスパイラルに陥る。CryptoQuantは「持続的なビットコイン上昇こそが株価下落を食い止める唯一の触媒」と結論づけている。反発がなければ、多くの暗号資産株はPIPE価格に近づくか、それを割り込む可能性がある。