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ビットコイン急落、8万6000ドル台へ―利下げ観測後退と巨額売却の連鎖

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執筆&編集:
Shigeki Mori

21日 11月 2025年 08:32 JST
Trusted-確かな情報源
  • 米雇用統計強含みにより利下げ観測後退、リスク資産から資金退避。
  • 初期クジラが巨額売却、取引所へのBTC流入増加で現物売り圧力拡大。
  • 短期レンジは8万6000〜9万ドル、悪材料なら8万ドル割れリスクも。
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ビットコイン(BTC)は21日未明、一時8万6000ドル台まで急落した。背景には、米雇用統計の強さを受けた利下げ観測の後退、長期保有クジラによる大規模売却、取引所へのBTC流入増に伴うスポット売り圧力の高まりがある。市場では短期的な価格帯として8万6000〜9万ドル周辺の攻防が意識されている。

利下げ観測後退がもたらしたマクロ・ショック

米国時間11月20日に発表された最新の雇用統計が市場の予想を大幅に上回ったことで、米連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board=FRB)の12月利下げ織り込みが急速に縮小。利下げ確率は約40%に低下し、当初織り込まれていた「年内複数回の利下げ」ストーリーが揺らいだ。

これにより、リスク資産全般に対するセンチメントが悪化。株式市場もナスダックを中心に下落に転じ、投資家が安全資産へシフトする動きが仮想通貨市場にも波及している。金利が長期化する可能性が意識されたことで、流動性拡大を前提に上昇してきたビットコインは、改めて「高金利環境での割高資産」として見直される格好となった。

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マクロ・ファクターによるこうした逆風は、特に仮想通貨のような「流動性/期待収益」が価格の大きな構成要素となるマーケットにおいて、急激なポジション解消を誘発しやすいことから、今回の急落における先導要因といえる。

長期クジラ売りと構造的マネー循環の変化

今回の動きでは、オンチェーン指標においても異変が観測されている。まず、2011年から保有してきた初期クジラ(例:ガンデン氏)が約13億ドル相当のBTCを売却したとされる報告が出ており、これが「長期保有者の利確モード転換」を示唆。

加えて、取引所へのビットコイン流入が直近で増加しており、スポット売りの準備が整いつつあるとの見方もある。こうした「売り準備=流入増加」という流れは、以前主流だったレバレッジ清算由来の下落とは異なり、実需・現物主導の下落圧力が強まっていることを意味している。

また、今年に入って購入した投資家の平均取得価格が10万ドル超とされる中で、今回の下落によりその水準を割り込むとともに、含み損に転じる動きが出始めている。その結果、買い勢の足が鈍くなるばかりか、戻り売りを誘発しやすく、相場の上値を重くする構造が形作られてきている。

今後の短期レンジと戦略的着眼点

短期的なレンジを整理すると、まず「戻りの重要ゾーン」は9万ドル前後が意識される。9万3000ドル付近を明確に回復できない限り、上値は重いと見る見方が優勢だ。オンチェーンでの分布からは、8万6000ドル〜9万ドルが当面のレンジに留まる可能性が高い。

ビットコイン価格チャート:BeInCrypto

一方で、さらなる悪材料(例えば米物価の再加速、FRBのハト派否定発言など)が出れば、8万ドル割れを試す展開も視野に入る。特に7万9000ドル〜7万5000ドル水準ではサポートが薄く、ここから一段安が起きれば4月安値付近の7万4000ドルまで下振れする可能性も排除できない。

仮にマクロが改善し、利下げ機運が復活すれば、9万ドル台後半の回復も射程に入るものの、現状では「戻りを売る動き」が強く、ショートカバーだけでは持続的な反発には繋がりにくい。投資家・トレーダーはいったん「8万6000〜9万ドル」レンジでの反発・戻り売りパターンを想定しつつ、マクロ指標・クジラの動き・取引所流入という三つ巴をチェックすることが重要である。

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