Bitgetウォレットは、コインベースが運営するイーサリアムのレイヤー2「Base」と、同チェーンで有力な分散型取引所(DEX)の一つであるAerodromeの新規統合を発表した。
DeFiへのアクセス簡素化を巡るウォレット間の競争が一段と激しくなる一方、足元の市場シグナルは基盤の逆風を示唆している。
Bitget、Base DeFiに進出
今回のアップデートにより、Bitgetウォレットのユーザーはアプリ内から直接Aerodromeで資産を取引できる。資金のブリッジやプラットフォーム間の切り替えが不要になる。
Aerodromeは、コインベースのラップドイーサリアムおよびビットコインであるcbETHとcbBTCなど、Baseネイティブ資産の主要な流動性ハブとして台頭している。
Aerodromeの取引・流動性機能をモバイルウォレットに組み込むことで、より単純化されたユーザーフローが採用を後押しすると、Bitgetは見込む。
Base上での構築は製品統合にとどまらない。誰もがアクセスできるオンチェーン・エコシステムを築くという共通の信念を体現している。
ジェイミー・エルカレ(Bitgetウォレット CMO)
BeInCryptoに共有された声明で、Aerodromeの貢献者であるアレックス・カトラー氏は、分散型取引所(DEX)がBaseの主要資産において常に最良執行を提供していると指摘。これに照らし、アプリ内アクセスは論理的な次の一手だと述べた。
Aerodromeは、MorphoとAaveに次ぐBaseチェーン上で3番目に大きいプロトコルで、TVL(総ロック価値)は656億ドルとされる。

この展開はBitgetウォレットのGetGas機能にも拡張され、ユーザーはETHを保有せずに取引手数料を支払える。これはレイヤー2(L2)ネットワークで一般的な摩擦点だ。
ウォレットの「Discover」タブにはBaseエコシステムの専用セクションが設けられ、キュレーションされたdApps、トークンフィード、取引オプションを一覧できる。
Bitgetの今回の統合は、同社がプラットフォームのナビゲーション支援を目的に発表したAIアシスタント「GetAgent」の翌日に実施された。
相次ぐ展開は、AI駆動のユーザーサポートとDeFiの深い統合を組み合わせる同社の戦略を示す。これによりBaseチェーンは、MetaMaskやTrust Walletなどの競合からシェアを奪う可能性がある。
Bitget、Base進出 ディファイへの信念薄れる中で
もっとも、タイミングには疑問も残る。Aerodromeは現在、BaseでTVLの3番手だが、ネイティブトークンは勢いの維持に苦戦している。
AEROは執筆時点で2.04%高の1.36ドルで推移するが、出来高の伸び悩みと先物のオープンインタレスト低下が上値の重さを示唆しているとの警戒感がある。

市場の確信低下や投機色の強いフローも、AEROを短期的な反落に脆弱にしているとの見方が出ている。
一方、Baseでの活動は全体として鈍化傾向にある。DeFiLlamaによれば、BaseのTVLは8月14日の49億ドルから今週は47.5億ドルへと3%超の減少となった。

減速は、エコシステム全体の流動性インセンティブが年初の成長ペースを維持しにくくなっている可能性を示す。
加えて、ネットワークは直近のチェーン障害からの回復途上にある。20分間のブロック生成停止が発生し、L2ブロックチェーンの分散性に改めて疑問を投げかけた。
利便性の高い機能やキュレーションされた体験が、現在の市場サイクルにおける構造的な弱点をどこまで補えるかが焦点となる。
Baseの流動性は依然として重要だが、TVLの縮小とAEROの弱気シグナルは、プロトコルがボラティリティや投機需要の後退と向き合っていることを示している。
ユーザーにとって、Bitgetの統合はBaseエコシステムへのアクセス障壁を下げる可能性がある。他方で、薄れゆく流動性のもとでDeFiへのオンランプを広げるというパラドックスも浮かび上がる。
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