バイナンスのBNBは依然として大型銘柄の中で最も強い上昇トレンドを維持しており、1,340ドルを突破して過去最高値を更新した。本稿執筆時点でBNBは24時間で+3.3%、過去7日間では27%以上の上昇を記録している。
ただし直近の高値からは約3.4%下落しており、短期的な調整局面に入った可能性がある。しかし、これは弱気の兆候ではなく、次の強気フェーズへの「健全な休息」に見える。
Sponsored過去のフラクタルと未実現利益が示す、BNBの「健全な調整」
BNBの12時間足チャートは、過去の強気ブレイクアウト構造を再現しているように見える。これは以前、サイクル序盤に28%の上昇をもたらした「ブルフラッグ+ポール」型のフラクタルだ。
過去のパターンでは、BNBは840ドル(A)から1,080ドル(B)まで急騰後、13.9%調整して930ドルに下落し、その後1,270ドル超へ再上昇した。現在も似た構造が展開しており、新たな「ポール」はA1からB1にかけて形成され、ピークは1,340ドル。ここから一時的な「フラッグ」(調整レンジ)が進行する可能性が高い。
また、RSI(相対力指数)の弱気ダイバージェンスも短期調整の可能性を示している。価格が高値を更新する一方で、RSIが低い高値を形成しており、買い圧力の鈍化が確認される。これは過去にも「一時的な冷却」を示すサインとして機能してきた。
さらに、短期保有者NUPL(未実現利益/損失)は9月25日の0.128から10月7日には0.345に上昇。年間最高値を更新し、170%超の急増を記録した。多くのトレーダーが未実現利益を抱えており、短期的な利益確定を誘発しやすい状況だ。
Sponsored2025年7月にも同様のNUPL急騰後に13%の調整が発生しており、今回も同程度(約13~14%)の下落が「フラッグ形成」を完了させる可能性がある。
調整シナリオで注目すべきBNBの価格レンジ
テクニカル的には、BNBが1,190~1,130ドルのゾーンに下落した場合、前回の調整幅と一致し、かつ重要なフィボナッチ・リトレースメントのサポート帯に当たる。この範囲は短期トレーダーや機関投資家が再エントリーする可能性が高い“買いの領域”とされる。
このサポート帯から反発した場合、BNBは再び上昇基調を取り戻し、1,550ドル(1.618拡張)や1,820ドル(2.618拡張)といった上値ターゲットを目指す可能性がある。これらはいずれも前回のサイクルで機能した主要なフィボナッチ拡張水準だ。
一方で、BNBが1,130ドルを明確に割り込む(12時間足終値ベース)場合、上昇継続の仮説は無効となり、より深い調整(1,000ドル台前半)に発展する恐れがある。
総じて、オンチェーン指標とチャート構造は「短期の冷却」を示しているが、それは長期的強気トレンドの中での健全な休息にすぎない。今回の一時的な下落は、次の上昇サイクルへの“助走”となる可能性が高い。