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ビットコインと中央銀行の流動性: 市場サイクルを動かす隠れた相関関係

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著者:
Nhat Hoang

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編集:
Shota Oba

03日 9月 2025年 19:07 JST
Trusted-確かな情報源
  • 中央銀行の流動性の増加は、ビットコイン価格の上昇に2か月先行する傾向があり、4年ごとの流動性サイクルと一致する。
  • アナリストは、流動性に対する公的債務の急増が脆弱性を増し、ビットコインのようなリスク資産がショックに対してより脆弱になると警告している。
  • 専門家は、米国の債務圧力がドルを弱体化させ、流動性主導のサイクルを促進する場合、BTCのような供給が限られた資産が利益を得る可能性があると指摘している。
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ビットコイン(BTC)とマクロ経済データの相関を評価することは、長期的なトレンドを把握するうえで重要である。最近の分析では、世界のM2マネーサプライよりも、中央銀行のバランスシートを注視する方が深いインサイトを得られる可能性が示唆されている。

ただし、マクロ環境は単純なチャート以上に複雑である。以下の分析では、専門家の視点から複合的な要因が浮き彫りにされている。

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世界の中央銀行の流動性とビットコイン価格の相関が示すものとは

Alphractalの最近の研究は、中央銀行の流動性が経済や株式、金、暗号資産に波及する速度は、世界のM2供給の変化よりもはるかに速いと指摘している。

このため、中央銀行の流動性データとビットコイン価格を比較することで、相関関係がより鮮明になるとされる。

中央銀行のグローバル流動性とBTC価格。出典:Alphractal
中央銀行のグローバル流動性とBTC価格 出典:Alphractal

データによれば、2023年から2025年にかけて世界の中央銀行流動性は28兆ドルから31兆ドルの範囲で推移し、4度の拡大と収縮サイクルを繰り返した。流動性が増加する局面の約2か月後、ビットコインは上昇する傾向を示した。

世界の中央銀行の流動性は通常、BTCの動きに先行する。流動性が減少の最終局面に入ると、BTCは横ばいとなる。つまり、中央銀行がまず資金を供給し、その一部が後にBTCのようなリスク資産へ移動する
—— Alphractal|説明

この観察結果は、流動性が30兆ドルを下回る水準で安定していることが、Q3におけるビットコインの10万~12万ドルの値動きを説明する一助となっている。

さらに2020年以降の動向を見ると、アナリストのQuintenが指摘したように、ビットコインの4年サイクルは流動性の4年サイクルと密接に一致している。

こうした発見は、中央銀行の流動性供給がビットコインを含む資産パフォーマンスに大きく影響することを裏付け、今後4年間に新たな流動性サイクルが現れる可能性を示唆している。

米国の債務増加が流動性を上回る兆候

Realvisionのチーフ暗号資産アナリスト、ジェイミー・クーツは別の観点を提示した。債務が流動性を上回るペースで拡大し続ければ、金融ストレスが高まり、市場はより脆弱になる可能性があるという。

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クーツ氏は、世界の流動性を「経済成長以上のスピードで拡大する債務を再融資する仕組み」と表現した。崩壊を避けるためには流動性が常に追いつく必要があると指摘する。

米国ではすでに債務の伸びが流動性を上回っており、システミックリスクの兆候とみられている。クーツ氏のチャートでは、流動性と米国債務の比率が低下基調にあることが示されている。

米国の総流動性と米国の公的債務。出典:ジェイミー・クーツ
米国の総流動性と公的債務 出典:ジェイミー・クーツ

比率が高いとき、過剰流動性はインフレを引き起こす。低いときは資金調達の圧力が強まり、リスク資産が脆弱になる。ではどうするか?これはサイクルの終わりを意味するわけではないが、脆弱性を示している
—— ジェイミー・クーツ|コメント

著名投資家レイ・ダリオも同様の懸念を抱いている。米国の公的債務が危険水準に達し、3年以内に「経済的心臓発作」を招く可能性があると警告。米ドルが価値を失う場合、供給に制約のある暗号資産は代替手段として魅力を増すと予測した。

Alphractalの観察が歴史的パターンに重きを置いているのに対し、ジェイミー・クーツやレイ・ダリオは現代的リスクに焦点を当てる。見解の違いはあれど、ビットコインは依然として特異な立場にあり、専門家はこれらの力学がBTCにとってプラスに働く可能性を指摘している。

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