中国当局がステーブルコインの制度設計を巡る議論を強化している。香港を実証拠点と位置づけ、国内事情に適合した枠組みの構築を目指す一方、国有企業による活用の兆しも見え始めた。
慎重姿勢崩さぬ中国、香港に実証の場
中国の金融規制当局はこのほど、専門家らを招いてステーブルコインの制度設計やリスク評価について協議したと英フィナンシャル・タイムズが7日、報じた。会合では「プロジェクトは中国の国情に即したものでなければならない」との指摘があり、中央銀行関係者も資本流出への懸念を繰り返し表明したという。
本土では暗号資産の取引が厳しく制限されているが、香港は例外的に法制度の整備が進んでいる。既に法定通貨に裏付けられたステーブルコインの発行を認可する法律が成立しており、香港金融管理局(HKMA)は2026年にも少数のライセンスを付与する計画だ。現時点で国有4大銀行のうち1行が対象になる見通しとされる。
中国人民銀行の潘功勝総裁は、ステーブルコインが従来の決済モデルを再定義したと評価しつつも、ドル建てトークンが米ドルの国際的な支配を強めるとの懸念を表明している。一方、複数の国有企業が香港での事業展開を見据えてライセンス取得を目指しており、当局は人民元建てステーブルコインの可能性についても排除していない。
中国ブロックチェーンの本命はコンフラックスか
ステーブルコインの普及には、規制と並んでブロックチェーンインフラの整備が不可欠となる。中国暗号メディア「PANews」のアナリスト、フランク氏は、候補の1つとして「コンフラックス(Conflux)」を挙げる。同チェーンは中国で唯一、規制の枠内で運営されるパブリックブロックチェーンであり、ネイティブトークン「CFX」を有する。理論上、ステーブルコインとの高い親和性が期待されている。
一方で、エンタープライズ向けとして注目されているのが「ChainMaker」だ。北京からの政策支援が厚く、複数の国有企業が参加するコンソーシアムチェーンとして政府文書にも取り上げられている。ただし、その構造上、国際的なステーブルコインへの応用には限界があるとの見方もある。
さらに、BSN(Blockchain-based Service Network)や「星火(Xinghuo)」といったトークン非搭載型の認可型チェーンも存在感を示している。フランク氏は、これらが国内ニーズに特化したインフラとして機能していると評価する一方、グローバル対応という観点では、パブリックチェーンであるコンフラックスに軍配が上がると分析する。
ステーブルコインの発行・流通における主導権を握るには、国内規制との整合性だけでなく、国際基準への適合も求められる。アナリストは、これらの要素を兼ね備える存在として、コンフラックスが中国の中核的インフラになる可能性が高いとの見方を示している。
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