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アジア太平洋地域でインドが暗号資産採用をリードする理由

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著者:
Shigeki Mori

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編集:
Shota Oba

02日 10月 2025年 21:43 JST
Trusted-確かな情報源
  • APACのオンチェーンクリプト取引は30か月で$81Bから$244Bに3倍になった。
  • インドは最大の市場であり続け、日本は前年比で最も強い成長を示している。
  • 韓国、ベトナム、パキスタンはAPACで独自の採用パターンを示している。
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チェイナリシスの2025年APAC(アジア太平洋)暗号資産採用レポートによると、同地域の暗号資産活動は急速に拡大している。月間オンチェーン取引額は3倍となり、2022年7月の約810億ドルから2024年12月には2,440億ドルに達した。

インドは引き続き取引量で最大の市場であり、草の根の採用、送金、フィンテック統合がその基盤を支えている。

日本は絶対量ではまだ小さいものの、2025年6月までに前年比120%の成長を記録。規制改革、投資家層の拡大、主要暗号資産の利用増が寄与した。この動きは、APACにおける多様な採用モデルを示している。

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インド、広範な普及の中で優位を維持

インドはオンチェーン取引量でAPAC首位を堅持。2025年中頃には月間オンチェーン取引がおよそ3,380億ドルに達し、他市場を大きく上回った。

APACにおける国別受取総額 出典: Chainalysis

草の根の採用が成長を牽引。主因はディアスポラからの送金、小売取引、統合プラットフォームを通じたフィンテック連携。若年層は投資・収入源として暗号資産の利用を拡大しており、国全体でデジタル資産への親和性が高まっている。

人口動態と整備の進む金融インフラが追い風。重要な経済要素である送金は暗号資産チャネルの活用が進み、従来銀行に比べ低コスト・迅速な決済を実現している。

また、フィンテックは既存決済と暗号資産取引を統合し、小売ユーザーの取引をシームレスに。税制ガイドラインの明確化やライセンス枠組みの整備といった規制進展も市場の信認を高めている。

もっとも、価格ボラティリティは依然課題で、規制当局はシステミックリスク抑止のため監視を継続。インドの事例は、巨大でデジタル接続された人口が、進化する規制環境下でも多大なオンチェーン取引を創出し得ることを示す。

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日本、前年比で最速の成長

総量ではインドが先行する一方、日本はAPACで最も高い前年比成長を達成。2025年6月までに取引は120%増。これは規制改革に続くもので、暗号資産の法的位置づけと税制の明確化、投資家保護の改善、機関投資家の参入促進が寄与した。

投資フレームワークの明確化と報告ルール改訂が普及を後押し。特に小売投資家や小規模金融機関に波及している。ビットコイン、イーサリアム、XRPの利用が拡大し、取引所はオンランプ・オフランプの利便性を高めている。

文化・経済要因も影響。東京や大阪など大都市圏では採用が既存金融に組み込まれ、地方でも緩やかに拡大。強固な銀行システムと高いスマホ普及・デジタルリテラシーが、暗号資産への滑らかなアクセスを支えている。

日本の消費者は送金・投資・決済など多目的で暗号資産を活用。APAC全体の規模は依然大きいが、日本の伸長は規制の明確化と市場教育の効果を示している。今後は政府の継続的監視とコンプライアンスが市場形成に影響を与える見通しだ。

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APAC各国の独自採用モデル

インド、日本以外でも、各国は経済・文化的背景を反映した採用モデルを見せている。

韓国では、暗号資産取引が株式市場に近い形で運営され、高い流動性、機関投資家の参加、ステーブルコイン需要の増加が観測される。規制の監視は厳格で、透明性・AML・投資家保護を重視。小売・機関の双方が参加しやすい環境が整備されている。

ベトナムは日常生活への統合が進み、送金・ゲーム・個人貯蓄に暗号資産を活用。モバイル中心のアクセスが普及し、インフレ環境下での価値保存手段としての利用も広がる。

パキスタンはモバイルファーストの採用モデルで、フリーランスへの支払いやインフレヘッジのためステーブルコインへの依存度が高い。経済制約と技術アクセスが採用戦略に影響している好例だ。

オーストラリア、シンガポール、香港といった小規模ながら成熟した市場は、ライセンスの明確化や精緻な規制により、機関投資家の参加と市場安定性を後押ししている。

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APACの採用モデルは、暗号資産を既存の経済・金融フレームに組み込む柔軟性と多様性を物語る。

地域展望とインプリケーション

APACは今後も力強い採用拡大が見込まれるが、その軌道は国ごとに異なる。インドの取引量は域内オンチェーン活動の主要ドライバーとなり続け、日本の急成長は規制明確化が成熟市場でも採用を加速できることを示した。

ベトナム、パキスタンなどの新興国は、送金やモバイル決済といった日常ユースケースの採用をさらに広げる可能性がある。

規制枠組みは、採用率や市場安定性を形成する中心的要因であり続ける。税制・ライセンス・コンプライアンスの明確なガイドラインを提示する国は、小売・機関の双方の参加を促すだろう。

フィンテック統合やモバイルアクセスを含むデジタルインフラの発展も、拡大の持続に不可欠だ。

チェイナリシスは、通貨変動の大きい国々を中心に、国境を越える送金やステーブルコイン利用が地域の流れに一段と影響を与えると指摘。投資家・政策当局にとってAPAC各国の独自モデルを理解することは、進化する暗号資産エコシステムで機会とリスクを見極めるうえで重要だ。

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