千葉県で13日、17歳の少年が銀行口座への不正アクセスとライブチケット詐欺の疑いで再逮捕された。この事件は、少年・未成年が暗号資産を絡めた詐欺やハッキングに関与する傾向を象徴しており、国内外の事例から、加害者としての若年層が犯罪に関わる構造的な傾向が明確になってきた。
Sponsoredアカウントを乗っ取り、暗号資産にマネロン
福島県を含む8県警の合同捜査本部は13日、千葉県大網白里市の無職少年(17)を不正アクセス禁止法違反および電子計算機使用詐欺の疑いで再逮捕した。容疑は昨年11月12日ごろ、本県外の女性から不正に入手した口座情報を使い、銀行認証サーバに不正アクセスして女性名義の口座から別人名義の口座に現金1万8,000円を送金した疑い。
県警サイバー犯罪対策課によれば、少年は「銀行に不正アクセスできるか試したかった。金が欲しかった」と容疑を認めているという。この事件は、アイドルグループ「Snow Man」のチケット詐欺と組み合わせた手口も浮上しており、現金の一部を暗号資産に換金した。被害者も20代女性とあり、「推し活」の購買意欲につけ込み、不正アクセスと暗号資産へのマネーロンダリングが絡むという、近年の若年層犯罪の象徴的な構図が垣間見える。
国内外で増加する未成年の暗号資産犯罪
国内では同年2月、14~16歳の中高生3人がSNS購入情報を悪用し、回線不正契約と転売で利益を暗号資産に換金した事件も確認されている。被害総額は約750万円相当で、ChatGPTを活用した自動化や効率化が特徴的だった。
さらに9月には岡山県の少年複数がオンラインカジノを利用し、暗号資産で賭博・資金洗浄を行ったケースもあり、数百万~数千万円規模に及ぶとされる。海外では2025年8月、カナダの17歳少年がAIツールとソーシャルエンジニアリングを駆使し、暗号資産4,800万ドル(約70億円)を不正取得、さらに200人以上を対象とした追加詐欺を行った事例がある。これらの事例は、匿名性の高い暗号資産が資金移動・洗浄手段として世界的に悪用されること、そして手口が技術的に巧妙化していることを示している。
Sponsored教育・規制強化が急務=12月にスマホ新法施行
こうした状況を受け、日本政府や警察庁は未成年者の暗号資産犯罪防止に向けた具体策を進めている。SNSやオンラインゲーム、アプリ上の誘因を断つため、フィルタリングの強化やネットリテラシー教育が推進されているが、12月18日から施行される「スマホ新法(スマートフォンソフトウェア競争促進法)」への懸念もある。
同法はOSやアプリストアの競争促進を図ることが主目的だが、施行後はサイドローディング(外部アプリインストール)の拡大により、偽アプリの拡散やセキュリティリスクの増大が指摘され、未成年者の詐欺被害や有害コンテンツ接触が増えるする可能性がある。
自治体レベルでは、こうした課題に対応するため、愛知県豊明市では未成年者のSNS利用を制限する独自条例を制定し、保護者や教育機関と連携した安全利用のルールづくりを進めている。専門家は、教育と規制、取引所での本人確認強化の組み合わせが不可欠であり、国内外の事例からも、暗号資産詐欺の低年齢化・巧妙化への社会的対応の重要性が改めて浮き彫りになっている。
海外ではAIや暗号資産に絡む少年犯罪への規制が進み、オンライン取引や匿名性を悪用した不正行為を監視する動きも活発である。専門家は、教育と法制度の強化、取引所側の本人確認徹底が不可欠と指摘する。国内外の事例は、暗号資産詐欺が低年齢化・巧妙化している現実を改めて浮き彫りにしており、社会全体での包括的対応が急務である。