バイナンス創業者で前CEOのチャンポン・ジャオ(CZ)氏をはじめ、暗号資産業界の高資産個人が、デジタル資産の盗難が過去最高を記録した2025年において、国家支援型ハッカーの主要標的となっている。
2025年だけで、暗号資産取引所や富裕層投資家から数十億ドル相当の損失が報告されており、国家レベルで支援されるサイバー攻撃の急増が懸念されている。
SponsoredGoogleがCZに「国家支援攻撃」を警告 — 北朝鮮の関与が疑われる
バイナンス創業者のチャンポン・ジャオ(CZ)氏は最近、Googleから受け取った「国家支援による攻撃の可能性」を警告する通知を公表した。この通知は、政府支援のハッカーがアカウント侵害を試みた可能性を示すものだ。
CZ氏は、このような通知を「時折受け取る」と説明し、コミュニティに注意喚起を促した。暗号資産アナリストのニール・ククレティ氏は、この警告はジャーナリストや研究者など、機密性の高いデータを扱う限られた人物にのみ送信される稀なケースだと指摘している。
必ずしも実際のハッキングを意味するものではないが、警戒を怠るべきではない。これらの通知は軽視すべきでなく、Googleが無意味に発することはない。慎重に対応するのが賢明だ。 —— ニール・ククレティ
Googleは同社のブログで、これらの通知は予防的な措置として2012年から発行していると説明している。これは、政府支援のハッカーがフィッシングやマルウェア攻撃を通じてアカウントへのアクセスを試みた兆候を検出した場合に送られるという。
Sponsoredこの通知は、国家支援の攻撃者がフィッシングやマルウェアを利用してユーザーのアカウントまたはデバイスへのアクセスを試みた可能性が高いことを示す。 —— Googleセキュリティチーム
同社によると、これらの通知は特定の国や攻撃者を直接特定するものではなく、リスクの高いユーザーに一括で送信される警告に過ぎないという。
北朝鮮系ハッカー、2025年に暗号資産史上最大規模の窃盗を主導
一方、CZ氏は、攻撃の背後に北朝鮮のハッカー集団「ラザルスグループ」が関与している可能性を示唆した。同グループは北朝鮮の情報機関「偵察総局」の指揮下で活動しており、過去にも複数の暗号資産企業への攻撃を行ってきた。今年初めのBybitハッキング事件にも関与したとされる。
この推測は的外れではないかもしれない。ブロックチェーン分析企業エリプティックの報告によると、北朝鮮系ハッカーは企業だけでなく、富裕層の暗号資産保有者を新たな標的としている。
暗号資産の価格上昇に伴い、個人投資家は企業よりもセキュリティが甘く、より魅力的な標的になっている。中には企業の関係者も多く、保有資産が多いことが攻撃リスクを高めている。 —— エリプティック報告書
エリプティックの最新データによると、2025年だけで北朝鮮系ハッカーによる暗号資産窃盗額は20億ドルを超え、過去最大を記録した。累計では60億ドル以上が盗まれており、これらの資金の多くが同国の軍事開発資金に流用されているとみられている。
これらの盗難は、国連の推定によれば北朝鮮のGDPの約13%に相当し、国家規模の資金調達手段となっている。 —— BBC報道より引用
こうした背景から、専門家は暗号資産保有者に対し、デジタルセキュリティ対策の強化を急ぐよう警告している。CZ氏に届いたGoogleの国家支援警告は、業界で最も影響力のある人物でさえ、国家レベルのサイバー攻撃の脅威から逃れられないことを浮き彫りにしている。