Terraform Labsの創業者ド・クォン氏は、シンガポールの高級マンションを巡る法廷闘争で敗訴した。2023年に売買契約が破綻した際に没収された1,400万ドルの支払い金の返還を求めていたが、認められなかった。
今回の敗訴は、苦境にある同氏にとって新たな打撃となる。一連の係争の中では最も重大な案件ではないものの、1,400万ドルは財政の立て直しや将来の罰金負担の軽減に資する規模だった。
ド・クォン氏のシンガポール訴訟
Terraform Labsは2022年の崩壊以降、同氏に多くの試練をもたらした。クォン氏は当初、米国での詐欺容疑に無罪を主張していたが、約1か月前に検察と合意に達している。
Sponsoredそうした中で、シンガポールの物件を巡る係争でも新たな逆風に直面した。
クォン氏は、暗号資産TerraUSDとLunaが崩壊する5か月前の2022年に、評価額3,000万ドルのSculptura Ardmoreのユニット取得に動いていた。選定したのは、開発プロジェクト19階に位置する7,600平方フィートの4ベッドルームのデュプレックス・ペントハウスで、同プロジェクトにある3つのペントハウスの一つだと、地元メディアは裁判所文書を引用して報じた。
具体的には、物件価格の約半分を支払った後、2023年に契約関係が悪化。契約の維持を試み、売却期限後も賃借を継続しようとしたが、同氏と妻は7月までに退去した。
その後、デベロッパーは当該ユニットを回収し、別の買い手に売却。クォン氏は没収された1,400万ドルの返還を求め、シンガポール高等裁判所に提訴した。
一方でデベロッパーは、追加の1か月分の家賃と修繕費の支払いを要求。クォン氏側が物件で大規模な改装に着手していたと主張した。
一連の敗北
結果として、双方にとって全面勝訴には至らなかった。シンガポールの裁判所はクォン氏の返還請求を退けた一方、修繕費の支払い義務は認めなかった。とはいえ、同氏にとっては法的挫折が続く格好だ。
米国での合意の一環として、同氏は1,900万ドル超の支払いを命じられており、今回の保証金はその一部を構成し得る規模だった。
全体で見れば、差し迫る量刑に比べ小さな争点かもしれないが、同氏の足元の資金状況を映す出来事と言える。
トランプ政権下で、各業界の「元パリア」が再び脚光を浴びる例も見られるが、すべてが当てはまるわけではない。少なくとも現時点で、クォン氏の業界復帰は現実味に乏しい。