イーロン・マスク氏の「テラファブ」チップ計画が突如として現実味を帯び、米国株の1銘柄が再び市場の注目を集めている。数か月前、マスク氏はこの巨大工場とインテル(INTC)、および同社の最先端技術を結びつけた。テラファブが資金調達に成功した今、その発言が再び重みを持ち始めている。
インテル株価は8月10日に約4%下落し、97ドル近辺で推移した。背景にはテラファブ関連のニュースではなく、新株発行があった。現時点で拘束力のある契約は存在せず、ウォール街の最大手銀行もイーロン・マスク氏の関与をどう評価すべきか見解が割れている。
イーロン・マスク氏が語るインテルとテラファブ
テラファブはイーロン・マスク氏による、地球上最大級の半導体工場を建設する構想だ。同氏はこれを「世界で最も価値ある建物」と呼ぶ。4月のテスラ第1四半期決算説明会で、インテルの14Aプロセスを初めて名指しした。14Aは次世代を担う極小・高速トランジスタ向けの製造技術で、テスラがこれを採用すれば、テラファブが14Aの初の主要顧客となる。ただし、インテル側の準備はまだ整っていない。
この後、動静は一旦沈静化した。翌四半期にはマスク氏の関心がNVIDIAの最新プロセッサーに移り、インテルは話題から外れた。しかし今月、スペースXとテスラがテラファブに出資を決めたことで、再び脚光を浴びている。
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インテルは4月にイーロン・マスク氏のテラファブ計画に名を連ね、相互に歩み寄りが見られた。インテルは「SpaceX、xAI、テスラとともに本プロジェクトに参加でき誇りである」と発表し、リップ・ブー・タンCEOもマスク氏の「産業全体の再構築における実績」を称賛した。
マスク氏の発言は市場でも高く評価されている。過去最高の個人資産は、まさにこの種の大規模投資によって築かれており、同氏がインテルの名を出すのは偶然ではない。
資金規模も本格的だ。8月には、スペースXとテスラがテキサス工場の建設に168億ドルの投資を決めた。
ただし、契約面には課題もある。スペースXの提出資料は、テラファブのパートナー各社(インテル含む)が途中で撤退可能であること、また正式な契約が結ばれない可能性を示唆している。つまり、14Aの導入言及は枠組みであり、インテルへの確定注文ではない。
このギャップがあるため、現段階では売上ではなく事業妥当性の裏付けとして意義が大きい。
まだ収益ではなく、事業妥当性の裏付けとなる理由
インテルは規制当局に対し、大口外部顧客がいなければ14Aの開発を一時停止、または中止する可能性があると説明している。イーロン・マスク氏のような顧客候補は重要な信任となる。
ただし、現時点では直接的な収入には結びつかない。14Aプロセスによる大規模生産開始は2028年と見込まれている。直近四半期の外部ファウンドリー収入は2億9300万ドルにとどまり、一方でファウンドリー部門だけで21億ドルの赤字だった。
ウォール街も意見が分かれている。7月28日には、JPモルガンが85ドルで「売り」、バンク・オブ・アメリカが160ドルで「買い」と真逆の投資判断を同日に出した。その後も、テラファブの資金調達が成立(8月6日)しインテルが150億ドルの新株発行(既存株主の持分希薄化を招いた8月10日の下落要因)を発表しても、主要アナリストはいずれも投資判断を動かしていない。
事業全体では業績が改善している。第2四半期の売上高は25%増の161億ドルとなった。投資家はテラファブ受注の拡大ではなく、トランプ氏によるインテル株保有など、事業全体の回復を織り込んでいる。
この楽観はすでに株価に織り込まれている。インテル株は最近下落したものの、年初来で大きく上昇している。
インテル株価、注目の水準
チャートを見ると上昇シナリオが浮かぶ。7月中旬以降、インテル株は逆三尊という上昇リバーサル型の形状を描いた。下落、さらに深い下落、その後は浅い下落と推移し、売り圧力の後退を示唆する。ただし、右肩付近では売り側の出来高がやや増加傾向にある。
しかし、その強気度合いは弱い。7月23日の決算以降、オプション市場では下落を見込むプット買いが増加し、上昇を見込むコールの買いは減少した。プット・コール出来高比率は0.79、未決済建玉比率は1.01まで上昇しており、パターンの最終局面で買いが求められる中、強気姿勢がやや後退している。
この強気パターンの左肩は89ドル付近、頭は81ドル付近、右肩は96ドル付近、ネックラインは104ドル付近に位置する。
最終判断は値動きにかかる。104ドル前後のネックラインを終値で上抜ければ、本格的なブレイクの確認となり、109ドル、113ドル、118ドルが視野に入る。平均的なアナリスト目標値は119ドル付近。上昇確認なら126ドル、さらに132ドルも目指せる。96ドルを割ると最初の下値メドは89ドル、最終的なサポートは81ドルとなる。
イーロン・マスク氏によるテラファブ事業は、インテル株に14A承認への現実的なオプションを付与するが、現時点では確信に欠ける。104ドルを出来高増加で明確に上抜けて初めて、本格的なブレイクとなる(現状では達成していない)。また、テラファブ関連の受注が実際に発生して初めて評価できる材料となる。









