主要デジタル資産企業が、直近安値から持ち直しつつあるイーサリアム(ETH)への投資を強化している。
ビットマイン・イマージョン・テクノロジーは、イーサリアムの保有額を1,100億ドル超へ拡大。ビットデジタルはETH準備金の拡充に向けて100億ドルを調達する計画だ。いずれの動きも、市場全体の回復基調を背景に、資産に対する機関投資家の信頼が高まりつつあることを示している。
イーサリアムへの賭けがDAT企業の株価を押し上げる
Sponsored直近のプレスリリースで、ビットデジタルは、ETHの7番目に大きな企業保有者であると明かし、2030年満期の転換社債の公募により100億ドルを調達する計画を発表した。加えて、引受人に同条件での追加取得(15億ドル)を可能にする30日のオプションも付与した。
「当社の社債はシニア無担保債務となる。満期は2030年10月1日だが、それ以前に転換・償還・買い戻しとなる場合がある。保有者は満期直前の第2営業日の終業時まで任意で転換できる」と、プレスリリースに記載されている。
同社によれば、調達資金は主としてイーサリアムの保有増に充当される見通しだ。同時に、潜在的な買収や投資、その他デジタル資産関連の機会にも活用する可能性がある。
注目すべきは、発表後にビットデジタルの株価(BTBT)が上昇した点だ。Google Financeによれば、取引終了時点で株価は3.2ドルとなり、前日比8.47%高を記録。一方で、時間外では5%下落した。
同時に、ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(BMNR)は、イーサリアム保有を265万ETHまで拡大し、足元の市場価格で1,100億ドル超の価値に達したと発表。オンチェーン分析会社Lookonchainは、同社が追加で234,846 ETH(9億6,300万ドル相当)を取得したことを確認した。
Sponsored Sponsored「2025年の最終月に入り、二つのスーパーサイクル投資テーマはAIと暗号資産だ。いずれも中立的なパブリックブロックチェーンを必要とする。自然体でイーサリアムが第一選択となるのは、その高い信頼性と100%の稼働実績にある。これら強力なマクロサイクルは数十年単位で進む。ETH価格は将来キャッシュフローの割引価値であり、トークンにとって好材料だ。ビットマインの主要財務資産がETHである理由でもある」と、同社会長トム・リー氏は述べた。
ETHに加え、ビットマインは192ビットコイン(2,160万ドル相当)を保有。さらに、エイトコ・ホールディングスへの出資が15.7億ドル、無担保現金は436億ドルを計上し、暗号資産と現金の合計は1,160億ドルに達している。
BTBT同様に、BMNRの株価も上昇したが、上げ幅は相対的に小さい。終値は53.22ドルで5.39%高。時間外では0.49%安の52.96ドルとなった。
さらに開示後も、ビットマインはETHの積み増しを続けている模様だ。本日、Lookonchainは報告し、同社関連の可能性があるウォレットがFalconXから25,369 ETH(1億674万ドル相当)を受け取ったと指摘した。
Sponsored Sponsoredこうした動きは、企業のETH保有額の急拡大とも軌を一にする。戦略的ETHリザーブのデータでは、企業保有は2025年6月の23億ドルから9月末には210億ドル超へ拡大している。
機関投資家にとどまらず、ETH買いの流れは市場全体でも継続している。アナリティクスによれば、別のウォレット「0x6F9b」がOKXから約2,100万ドル相当の4,985 ETHを引き出したという。
「アドレス0x1fc…FAEd5は2025年6月18日以降、21,048 ETH(8,854万ドル)を蓄積。平均引き出し価格は3,794ドル、未実現利益は約849万ドル。このアドレスはバイナンスからさらに2,360 ETH(993万ドル相当)を引き出した」と、オンチェーンアナリストは指摘した。
イーサリアムは11月に6,000ドルへ到達するか
Sponsored一方で、機関の積極姿勢は、ETHが4,000ドルを割り込んだ後に再浮上し始めたタイミングと重なる。足元では下げ幅を巻き戻し、上昇を継続。本稿執筆時点でETHは4,202ドルと、前日比2.25%高で推移している。
さらに、市場参加者は上振れ余地を指摘する。あるアナリストは、ETHが「パワー・オブ・3」パターンに沿っていると観測。蓄積と“操作”の局面を終え、現在は拡大局面に入ったとの見立てだ。この見解は他のアナリストも共有している。
「2025年11月までに6,000ドルのETHが実現する可能性は非常に高い」と同氏は述べる。
ETHが上昇基調を維持するなか、強気の市場心理は一段と強まっている。季節的に好調とされる第4四半期の楽観論も追い風だ。数カ月内に6,000ドルへ到達するのか、あるいは逆風に直面するのか、今後の推移が焦点となる。