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金の4000ドルへの上昇はニクソン時代を彷彿とさせる — 現代の勝者はビットコインか

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著者:
Kamina Bashir

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編集:
Shota Oba

08日 10月 2025年 18:30 JST
Trusted-確かな情報源
  • 金先物は1オンスあたり$4,000を超え、ニクソンショック後以来の最速の上昇を記録した。
  • ゴールドマン・サックスは、2026年の金価格目標を1オンスあたり$4,900に引き上げた。需要が強いことを理由としている。
  • ドイツ銀行は、ビットコインと金が2030年までに中央銀行の準備資産に加わる可能性があると予測している。
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金先物が1オンスあたり4,000ドルを突破し、ニクソン・ショック以来最速の上昇を記録した。

この急騰は、持続的なインフレ、ドル安、失業率の上昇といったマクロ経済の逆風を背景に、法定通貨への信頼危機への懸念を再燃させた。投資家は再び「安全資産」として金やビットコイン(BTC)に資金を移している。

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1970年代の再来か?金の急騰がニクソン・ショックを想起させる

1971年、リチャード・ニクソン大統領がドルと金の交換停止を発表した「ニクソン・ショック」は、戦後のブレトン・ウッズ体制を終焉させた歴史的転換点だった。各国通貨は米ドルに、米ドルは1オンス=35ドルで金に裏付けられていたが、この連動が崩れたことで、ドルは事実上の不換通貨となり、金は爆発的な上昇を見せた。

市場レポート『The Kobeissi Letter』は、現在の金相場の動きがその1970年代の状況と酷似していると指摘する。

「2024年2月、金は2,000ドルに達し歴史的高値とされたが、その19か月後には倍の4,000ドルへ。これはニクソン・ショック直後の1970年代以来、最速の上昇ペースだ」と分析は述べている。

Gold’s Rally
金先物の上昇推移 出典:The Kobeissi Letter

報告書によると、米国のM2マネーサプライは金価格と連動して急増しており、巨額の財政赤字と低金利政策が背景にある。ドル指数(DXY)は年初来で10%下落しており、これは過去40年で最も急な下落率だ。

また、求人件数を上回る失業者数の増加が景気後退懸念を強めている。特にレジャー・ホスピタリティ分野では、退職者数が2020年や2008年危機時の水準まで落ち込んでいるという。

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「金はFRBがこの現実を無視できないことを知っている」とThe Kobeissi Letterは警告する。

インフレ圧力も根強く、CPI構成項目の60%が前年比3%以上の上昇を維持。連邦準備制度理事会(FRB)はそれでも金利を引き下げ続けており、経済成長鈍化と高インフレの併存――いわゆるスタグフレーションの兆候が現れている。

こうした環境下で、機関投資家は再び金へのエクスポージャーを高めている。安全逃避の一時的な動きというよりも、構造的なリスクヘッジとしての再評価だ。

「ウォール街は10年ぶりに金に熱視線を送っている。ゴールドマン・サックスは2026年の金価格目標を4,900ドルに引き上げ、ETFと中央銀行の買いが続くと見ている」と報告は述べた。

「デジタルゴールド」としてのビットコイン:現代版の逃避先

金の高騰は法定通貨への信頼低下を示すシグナルである一方、ビットコイン(BTC)は「デジタルゴールド」として同じテーマの恩恵を受けつつある。ドイツ銀行のアナリスト、マリオン・ラブレ氏とカミラ・シアゾン氏は、金とビットコインの両方が2030年までに中央銀行の準備資産に加わる可能性があると予測する。

「戦略的なビットコイン保有は、20世紀の金保有と同じ役割を果たしうる。ボラティリティの低下、流動性の拡大、信頼性の向上により、両資産が2030年までに中央銀行のバランスシートに載る可能性がある」とレポートは述べている。

実際、ビットコインのボラティリティは2020年以来の低水準にあり、「高リスク資産」から「準備資産」への移行が進んでいる。マイクロストラテジーなど上場企業もBTCをバランスシートに組み込み国家準備金に採用する動きも議論されている。

金とビットコイン——物理とデジタルという形の違いこそあれ、どちらも「通貨不信」の時代における資産防衛の象徴として再び脚光を浴びている。

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