学界、ウォール街、ワシントンの有力者らがデジタル資産の将来について意見を交わしている。ビットコイン(BTC)や暗号資産の役割が主流金融の中で拡大するなか、市場センチメントは一段と高まっている。
ハーバード経済学者とビットワイズCIO、ビットコインの基本原則で対立
ハーバード大学の経済学教授で元IMFチーフエコノミストのケネス・ロゴフ氏は、約10年前にビットコインの行方を誤って予測していたことを認めた。
当時、ビットコインは「10万ドルに到達するよりも100ドルまで暴落する可能性が高い」と見ていたという。
何を見落としたのか?私は米国が暗号資産規制に関して賢明な判断を下すと過度に楽観視していた。なぜ政策当局が脱税や違法行為を助長したいと思うのか
— ロゴフ氏|最近の投稿
同氏はさらに、ビットコインが法定通貨と競合する構図を理解していなかったことや、規制当局が暗号資産を公然と保有する事態を予見できなかったと振り返った。
こうした発言は、ワシントンの規制対応の遅さと一貫性の欠如への不満を映し出している。
一方、ビットワイズ・アセット・マネジメントのCIOマット・ホーガン氏は、ロゴフ氏の見方を批判。ビットコインの本質的価値である分散化を過小評価していると指摘した。
ホーガン氏によれば、ビットコインは中央集権機関ではなく「人々」によって支えられており、その強靭性こそが暗号資産の根幹にある。
ホーガン氏ら支持者は、分散型システムが従来の経済モデルが崩れる場面でも機能することが、ビットコインの強みであると強調する。
皮肉にも、ロゴフ氏が懐疑的である一方、同氏が所属するハーバード大学は暗号資産市場への投資を拡大している。2週間前、同大学はブラックロックのビットコインETF(IBIT)に1億1660万ドルを投資したと開示。アルファベット株を上回る同大学の5番目に大きなポジションとなった。
IBITが唯一のWeb3投資であることは、この動きが持つ象徴的な意味を浮き彫りにしている。
トップ経済学者が懐疑を示す一方で、大学は現実的な投資判断を下しており、理論と実務の乖離を映す格好となっている。
FRB副議長ボウマン、バランスの取れた規制を求める
米国での暗号資産規制が依然不透明ななか、連邦準備制度理事会の監督担当副議長ミシェル・W・ボウマン氏は、ワイオミング・ブロックチェーン・シンポジウム2025で前向きな見解を示した。
ボウマン氏は、ブロックチェーン技術は産業革命やインターネットに匹敵する「地殻変動」を金融にもたらすと述べ、規制当局には慎重さと革新性の両立を求めた。
我々のアプローチは、連邦準備制度スタッフが暗号資産や他のデジタル資産を少額保有し、その仕組みを体感的に理解することを検討すべきだ
— ボウマン氏|講演
規制当局者自身が一定の実務的関与を持つべきとする同氏の発言は、停滞を回避し現実に即した規制設計を模索する姿勢を示した。
ロゴフ氏とホーガン氏の対立、ボウマン氏の柔軟な規制観、そしてハーバード大学の投資方針は、暗号資産を巡る現実の複雑さを浮かび上がらせている。
政策立案者がリスクと格闘し、学者が警鐘を鳴らす一方で、ウォール街や有力機関投資家はビットコイン投資を拡大している。
結果として、ビットコインの強靭性は、分散化の力が予想以上に大きいことを示していると、ホーガン氏の主張を後押しする形となっている。
ただし、本当の試練は、規制当局、学界、そして機関投資家が、成長を妨げずに次のデジタル金融のルール形成で合意できるかどうかにかかっている。
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