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HashKey、5億ドルのDATファンドを開始 香港で49のDAT企業

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著者:
Shigeki Mori

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編集:
Shota Oba

08日 9月 2025年 19:03 JST
Trusted-確かな情報源
  • HashKeyは、ビットコインとイーサリアムを基盤としたデジタル資産財務プロジェクトを対象に、5億ドルのファンドを立ち上げた。
  • 香港上場企業は「暗号株連動」を採用し、評価額を暗号通貨の価格変動に連動させている。
  • 企業が不安定な暗号通貨市場サイクルで、借入金を利用してトークンを購入することに依存するリスクが残っている。
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HashKey Group、香港最大のライセンスを持つ暗号資産取引所が、初のデジタル資産トレジャリー(DAT)ファンドを発表した。

このファンドは5億ドルを目標としており、ビットコインやイーサリアムのプロジェクトを支援し、世界的な普及イニシアチブを後押しする狙いがある。

香港、暗号資産の存在を正式化

HashKeyの動きは、香港がデジタル資産金融における役割を明確に位置づけようとしていることを示す。暗号資産市場が依然として不安定な中、こうした機関投資ファンドは、トークンへのエクスポージャーを構造的に導入する取り組みとみなされる。HashKeyはDATプロジェクトの多様なポートフォリオを追求し、Web3インフラの広範な発展と歩調を合わせる方針だ。

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DATモデルとは、暗号資産をバランスシートに組み込む企業やファンドを指す。これは2020年にビットコイン購入を開始した米国上場ソフトウェア企業ストラテジー(旧マイクロストラテジー)の戦略を反映している。同社は現在、世界最大の企業保有者となり、630億ドル超の暗号資産を抱える。その成功は他社に影響を与え、スタンダードチャータードは同様の企業が合計で約10万ビットコインを保有していると推定している。

香港株式市場でも「暗号資産株リンク」が広がっている。上場企業が暗号資産を蓄積し、その株価がトークン市場と連動する動きだ。米国ではストラテジーの株価がビットコインの値動きに追随していることが知られているが、このトレンドはアジアでも注目を集めつつある。

香港上場企業では、Boyaa InteractiveやHuajian Medicalが大規模な暗号資産購入を公表。8月末に発足した香港デジタル資産上場企業協会にはすでに49社が加盟し、合計時価総額は約200億ドルに達している。多くの企業が今後数か月でトークン保有を拡大する計画だ。

経営者らは、このモデルがトークンを直接保有できない企業に間接的なエクスポージャーを提供すると説明している。香港で開かれたイベントでは、Binance創設者のチャンポン・ジャオ(CZ)がDAT構造を、上場企業や国営企業が直接デジタル資産を保有せずに参入する手段として紹介した。

メタプラネット株、今夏に急落

注目される動きとして、ジャック・マーが関係するYunfeng Capitalはイーサリアムに4000万ドル超を投資。Huobi創設者Li Linが率いるNew Fire Technologyは5億ドル規模の「コイン蓄積」計画を発表し、Binance関連のファミリーオフィスYZi LabsもBinance Coinの蓄積を目的とした資金提供を開始している。

一方でリスクを示す事例もある。日本のメタプラネットは世界6位のビットコイン保有企業となったが、今夏に株価が急落した。アナリストは、暗号資産購入を資金調達するために債務や株式を発行する企業は、価格下落時に「フライホイール効果」と呼ばれる悪循環に陥るリスクがあると警鐘を鳴らしている。

専門家は、香港がネットワーキングや資金調達の場として魅力を提供する一方で、大規模な実行の場は依然として米国に軍配が上がると指摘。PIPE(Private Investment in Public Equity)やATM(At-the-Market)オファリングといった米国の資金調達手法の柔軟性により、香港の規制環境より効率的に資本を集められるためだ。

香港の世界デジタル資産金融における役割

香港の立場は、伝統金融とデジタル資産の橋渡しを目指す姿勢を反映している。香港上場企業が直接保有する資産規模はまだ20億ドル未満にとどまるが、機関投資ファンドや上場企業は参入拡大を進めている。

HashKeyの5億ドルDATファンドは、ライセンスを持つ企業によるアジアで最も組織的な試みの一つを象徴する。同時に「暗号資産株リンク」の広がりは、上場企業が新たなトレジャリーストラテジーを模索している証左だ。その持続可能性は、規制環境、資本市場の需要、そして暗号資産サイクルの強靭性に左右される。

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