ビットコイン(BTC)は、フランスが直面している年金問題の救世主になるかもしれない。
フランスのマクロン大統領は1月、定年を62歳から64歳に引き上げる計画を明らかにし、3月には年金改革法案の議会承認を強行した。直後から反対運動が激化し、6日には世界最大手の資産運用会社「ブラックロック(Black Rock)」パリ支店をデモ隊が占拠。「金持ちの企業にしか利益を与えない」と揶揄されるマクロン政権に対して強烈な抗議を行った。
当社ジャーナリストがこの件に関する最新状況を報告した。
ビットコインをめぐり二極化する意見
フランス政府は3月16日、無投票で年金改革法案の議会承認を行った。
新法案では、定年退職の年齢引き上げに加え、42種類存在する年金基金の一本化が行われる。これにより転職や休職が簡素化される一方、高い報酬と早期定年退職制度を持つ産業に従事する労働者には弊害が生じるとされ、反対の声も多い。
マクロン大統領は、新しい年金制度が勝者と敗者を生む可能性が高いことを知っていたため、長期にわたって国民の認識を改めようとした。マクロン大統領は、新しい年金制度は25年に開始し、15年かけて完全移行すると述べている。
フランスの年金諮問委員会は、この改革により、30年までに193億ドルの収益が政府に入ると予測している。定年引き上げをスムーズに行うため移行期間が設定される予定であり、これに必要な補償措置予算は49億ドルを超える可能性があるとされる。
ヴァンガード(Vanguard)など大手ファンドが「長期的にみてビットコインの資産価値は不安定だ」と主張する一方、識者のなかには「ビットコインは、年金受給者が退職後に直面するであろう、通貨切り下げに伴うインフレから身を守る安全資産だ」とみなす者もいる。
ビットコインはフランスの年金制度を救うインフレ・ヘッジ
米国の年金ファンドは、大きな損失を被ることなく投資リターンを高めるため、慎重かつ大胆に暗号通貨のポートフォリオを強化してきた。米大手投資信託のフィデリティは、23年末を目処に、新たにビットコインを401(k)プランに加えると発表した。
401(k)プランとは:
米国の確定拠出年金制度のうち、内国歳入法401条(K)項を根拠とする税制適格の年金制度
これにより、従業員の年金資金の最大20%を暗号通貨に割り当てることが可能となる。フィデリティ社は、約2万3,000社の年金資金を管理している。
暗号通貨のシンパは、フランスの年金改革について「ビットコイン普及を促し、確定拠出年金ファンドお大手のフィデリティやフォーアスオール(ForUsAll)の足跡をたどる良い機会だ」と考えている。
暗号資産(仮想通貨)起業家のデル・クリプト(Del Crxpto)氏は、今後5年以内に年金ファンドのポートフォリオをビットコインに移行することで、従来通り「62歳定年」を維持できるだろうとTwitterで発言している。通貨切り下げは、ポートフォリオの一部を暗号通貨に転換する充分な理由になるだろうという意見もある。
フランスの年金受給者の税引き後収入は現在、月1,400ユーロである。年率3%のインフレ率に基づくと、同じ水準を維持するには、30年には毎月約1,721ユーロ、50年には3,109ユーロが必要となる。この予測は、欧州委員会と欧州中央銀行の最新データに基づいている。
一方ビットコインは、年初比70%超の上昇率を記録し、現在は28,200ドル付近で取引されている。
ビットコイン強気派で知られるマイケル・セイラー(Michael Saylor)氏は、一貫して「ビットコインは安全資産である」と主張している。同氏が率いる米ビジネス・インテリジェンス企業「マイクロストラテジー」は5日、1,045枚のビットコインを追加購入した。
今回の購入により、同社保有のビットコインは14万枚を超えた。マイクロストラテジー社は、暗号通貨を従業員の年金ポートフォリオに取り入れた最初の米国企業の1つである。
翻訳:BeInCrypto Japan
原文:How Bitcoin Can Help Solve France’s Sweeping Pension Reforms
Follow us on:
X(Twitter):@BeInCryptoJapan
Telegramチャンネル:@BeInCrypto Japan オフィシャルチャンネル
免責事項 - Disclaimers
当ウェブサイトに掲載されているすべての情報は、誠意をもって作成され、一般的な情報提供のみを目的としています。当ウェブサイトに掲載されている情報に基づいて行う一切の行為については、読者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。