暗号資産業界最大手級のファンド2社が、ここ数日でハイパーリキッド(HYPE)約2億9100万ドル分をアンステークした。HYPEは60ドルを割り込み、市場では大量売却への警戒感が広がった。
アンステークを行うとロックされたトークンが売却可能となる。しかし、マルチコインは「売却目的ではない」としており、オンチェーンデータもこれを裏付けている。
HYPEが60ドル割れとなった背景
ハイパーリキッドは、暗号資産業界屈指の取引量を持つプラットフォーム。HYPEは現在、時価総額トップ10入りのトークンである。本稿執筆時点で58ドル前後で推移し、1日で約2%下落。6月の過去最高値76.70ドルからは約24%安となった。
マルチコインは約200万HYPE(約1億2000万ドル相当)をアンステークした。オンチェーン監視を手がけるMLMの調査によれば、パラダイムはさらに多い約292万HYPE(約1億7100万ドル)をアンステークした。パラダイムはコメントしていない。
合計で約2億9100万ドルに上る。この規模はHYPEの1日当たり取引量の約85%に相当し、流動性の低い市場では極めて大きい。マルチコインのトークン移動はLookonchainが最初に捕捉。一部はカストディサービスのコインベース・プライムへ送付された。
マルチコイン「HYPEのアンステークは売却目的ではない」
マルチコイン共同創業者トゥシャー・ジェイン氏は即座に反論。同氏は「HYPEをアンステークしたが、売却のためではない」と発言した。
「昨日、我々は大量のHYPEをアンステークした。売却目的ではない……当ファンドは常に監視されているため、定期的なウォレット変更を余儀なくされている。機関投資家には運用上のプライバシーが必要だ」
大手ファンドは常時オンチェーンで監視されている。このため、プライバシー確保のため定期的にウォレットをローテーションしているという。ジェイン氏は過去のインタビューでも同様の主張を展開。同社は2028年に向けた強気なHYPE価格予測を掲げている。
なぜすべての動静が可視化されるのか。ハイパーリキッドはベンチャー資金を受けておらず、2024年のエアドロップでHYPEを配布したため、大口保有者は市場で購入した。よって、利用するウォレットは全てトラッキングが容易である。
オンチェーン監視アカウントMarkets Alphaは関連ウォレットを精査。その中で4つのウォレットが特定され、それらはアンステークしたHYPEを売却するのではなく、カストディへ移したことが判明した。
あるグループはさらに、約100万HYPEをグレースケールへ送付した。これは新設のハイパーリキッドETF「HYPG」組成への充当である。ファンドは6月にナスダックで取引を開始した。
なぜ一部トレーダーは懸念しないのか
必ずしも全員が懸念しているわけではない。トレーダーのElon Trades氏は、HYPEの実需はほとんど変化していないと指摘。その上で、デリバティブ取引シェア拡大や安定した収益基盤に言及した。
ただし今後、市場に追加供給されるHYPEはさらに増える可能性がある。ハイパーリキッドによれば、アンステークから売却可能となるまで約7日間が必要であり、公式ドキュメントでは大半のトークンが7月末ごろにロック解除となる見通し。
この先どうなるか。ファンドが再度ステークする、保有継続、もしくは売却に動く可能性がある。現状、プロジェクトの基礎的要素は堅調とみられるが、HYPEのアンステークは引き続き価格に重しとなっている。価格回復のためには、HYPEが再び60ドルを上回る必要がある。









