米国内国歳入庁(IRS)は、暗号資産保有者に偽の「デジタル資産コンプライアンス・ポータル」へのアクセスを促し、暗号資産や個人情報を盗み取る目的の偽造書簡が郵送されていると警告した。
同庁の犯罪捜査部門は、木曜日に詐欺への警戒を呼びかけた。これらの偽造書簡にはQRコードが記載されており、受取人を偽のウェブサイトへ誘導する。
偽造IRS書簡の手口
偽の通知文書は、受取人に対し、期限までにこのポータルに登録しなければならないと記載する。 IRSは、同庁がこのようなポータルを運営しておらず、書簡も送付していないと強調した。
被害者がQRコードをスキャンすると、詐欺サイトが個人情報の入力を求める。同庁は、心当たりのない書簡やメール、SMSに含まれるQRコードは絶対にスキャンしないよう納税者に促している。加えて、支払いを要求する電話があった場合にも応じずに切断するよう求めた。
郵便物を利用した手口は、典型的な暗号資産フィッシングからの手法の変化を示す。コインベースとセキュリティ企業DarkTowerも今週、この詐欺キャンペーンを警告した。
両社の調査によると、書簡では2017年から2026年までの課税年度に言及があった。また、偽装されたドメインは香港のレジストラ経由で登録され、ルーマニアでホスティングされていた。
「電話が攻撃そのものだ……サポートを名乗る詐欺師が、口座の秘密鍵を渡すよう誘導し、資金を“安全な”ウォレットに移すよう仕向けてくる。これがヴィッシング(音声フィッシング)であり、現在暗号資産保有者を狙う最も効果的なアカウント乗っ取り手法の一つだ」とコインベースは述べた。
暗号資産詐欺とハッキング被害が業界を蝕む
この詐欺は、なりすましを利用した広範な詐欺手口の一部といえる。Chainalysisの報告によると、詐欺や欺瞞が2025年に被害者から170億ドルを奪った。なりすまし詐欺は1400%増加した。
ハッキング被害も依然として多い。TRM Labsによれば、2026年上半期に記録したハッキングは207件で、1年前に記録した83件の倍以上となった。
これは同社の記録上、6カ月間で最多を更新した。ただし総被害額は約9億7200万ドルと、2025年上半期の約23億ドルから減少した。
こうしたデータは、攻撃者がコードの脆弱性から人間を標的とする手法にシフトしている実態を浮き彫りにする。IRSの偽書簡は、その攻撃がメール受信箱だけでなく郵便受箱にも及んでいることを示す。









