中国政府が、人民元連動型ステーブルコインを国境を越える貿易で活用し、米国との通貨覇権争いに参入する可能性があると報じられている。
米国は7月にGENIUS法を可決し、ドル連動型ステーブルコインを通じて世界的な通貨支配の強化に動き出した。中国の参入は、ステーブルコインの普及と成長を一段と加速させる可能性がある。
新たな人民元連動ステーブルコイン、AxCNH
中国は最近、カザフスタンの金融当局から承認を得て、世界初の規制下にあるオフショア人民元連動ステーブルコインを発行した。月曜日、Layer-1ブロックチェーンプロジェクトConfluxのCTOであるヤン・グアン氏は、そう述べた。同氏の企業はこの発行に関与している。
Sponsored同氏はさらに、新ステーブルコインAxCNHが人民元の国際化を後押しする狙いであると説明した。発行自体は国際的な注目を大きく集めなかったものの、国境を越える決済を再構築し得る「バタフライ効果」を生む可能性があるという。
AxCNHはオフショア人民元に連動する暗号資産であり、中国の一帯一路構想(BRI)に関与する各国間の越境決済の効率化を目的に発行された。ドル起点の制裁リスクを和らげることも目指している。
一帯一路構想(BRI)は、2013年に中国が開始した、アジア・欧州・アフリカの連結強化を通じて、世界のインフラ・貿易・経済協力を促進する野心的戦略である。150超の国が参加し、中国は世界的な接続性と開発を前進させるために総額1兆3000億ドル超を投資している。
投資はインフラ、エネルギー、技術など戦略分野に及ぶ。経済成長の梃子と評価する向きがある一方で、同構想を通じた中国の影響力拡大に懸念を示す国・アナリストも少なくない。
業界関係者の間では、香港のフィンテック企業AnchorXが発行するステーブルコインに対し、中国政府が大きな影響力を持つとの見方が出ている。
ConfluxはAxCNHの基盤技術を提供しており、中国政府から公式承認を受けた数少ないパブリックブロックチェーンの一つとされる。同ネットワークは1秒あたり3000件超のトランザクション処理能力を有すると報じられている。
今回の動きが、ステーブルコイン市場規模の一段の拡大につながるかも焦点だ。ステーブルコイン市場は、規模が急拡大する局面で上昇トレンドを強める傾向がある。
7月18日に米国のGENIUS法が可決された時点で、世界のステーブルコイン時価総額は2672億ドルだった。その後、増勢を強め、月曜日には3094億ドルに到達。わずか70日余りで15.8%の増加となった。