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【速報】

日米ともに政策金利を据え置きへ─暗号資産市場は「静の中の不安定性」に直面か

8分
投稿者 Shigeki Mori
編集 Shigeki Mori

概要

  • 米FRBは5会合連続で金利据え置きを決定、利下げには慎重姿勢を継続
  • 日銀も経済の不透明感から金利据え置きの見通し。市場は公表に注視
  • 金利安定によるリスク資産環境の維持も、暗号資産価格は短期的に方向感乏しくなる見込み
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米連邦準備制度理事会(FRB)と日本銀行が、7月30日から31日にかけて金融政策会合を開き、いずれも政策金利を据え置く決定となりそうだ。FRBは5会合連続での据え置きをすでに決定、日銀は31日午後に2日目の会合を持つが、4会合連続の金利据え置きとなる見込み。いずれもインフレ指標や国際情勢の不確実性を背景に、当面は金融緩和・引き締めの方向性を慎重に見極める姿勢だ。

政策金利は、株式や債券市場と同様、暗号資産市場にも少なからぬ影響を及ぼす可能性がある。特に、価格ボラティリティの高い暗号資産にとって、金利政策の動向は機関投資家のリスク許容度や資産配分に直結する。

FRBの「利下げ先送り」がもたらすビットコインへの影響

米FRBは30日、フェデラルファンド金利の誘導目標を4.25〜4.50%に据え置いた。パウエル議長は記者会見で、「インフレ抑制は最優先課題であり、利下げは時期尚早」との認識を改めて強調した。

トランプ大統領に任命されたウォラー理事とボウマン副議長が利下げを主張して反対票を投じるなど、政治的圧力の存在が表面化したが、市場全体としては「9月も据え置きの公算が高い」との見方が支配的だ。

このような金融政策の慎重姿勢は、短期的にはリスク資産とされる暗号資産にとって中立ないしややポジティブとされる。金利が急騰する懸念が和らいだことで、資金調達コストの高騰を嫌う投資家にとっては、暗号資産への資金回帰の動きも一部見られる。

実際、ビットコインは金利据え置き発表後に一時的な買い戻しの動きが強まり、11万7500ドル台を試す展開となった。ただし、上値は重く、FRBの政策方針がインフレ指標次第である以上、「材料難」の状態が続く可能性もある。

31日午前8時30分時点でのビットコイン価格:BeInCrypto

日銀の慎重姿勢、円安継続とステーブルコインへの思惑

一方、日銀は31日、2日目の金融政策決定会合を開くが、政策金利は据え置く見通しとなった。これにより、日本のマイナス金利政策は引き続き維持され、金利正常化の動きは再び先送りされた格好となった。トランプ政権との相互関税交渉が合意に至ったとはいえ、企業収益への影響や中国との交渉の行方などを注視する必要があるとして、日銀は経済の先行きを慎重に見極める姿勢を崩していない。

このような金利の据え置きは、為替市場において円安圧力を強める可能性がある。現にFRB発表直後のドル円は149円台に急騰、円安が進行する流れの中で、ステーブルコイン(USDTやUSDCなど)の国内取引高の拡大が期待される。

円建ての暗号資産投資家にとっては、外貨建て資産としてのビットコインやイーサリアムの存在感が再び高まる局面とも言える。特に、資産防衛・インフレヘッジとして暗号資産を捉える層にとって、政策金利の停滞は引き続き「買い材料」となりそうだ。

機関投資家のスタンスは「様子見」継続

暗号資産に本格参入している機関投資家の間では、「ポジション維持・様子見」が依然として主流となっている。

ブラックロックやフィデリティといった大手が運用するビットコイン現物ETFの流入額は、4〜6月に比べてやや鈍化しており、市場全体としても明確なトレンド形成には至っていない。

金利が据え置かれたことで、株式や債券市場とのリスク比較において、暗号資産が「より積極的に選ばれる理由」にはなりづらいのが現状と言えるが、それゆえにステーブルコインへの関心は2025年下半期も高まることが予想される。


今後の焦点:9月のFOMCとトランプ関税開始

次の注目される金融政策イベントとしては、9月16〜17日に予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)と、日銀が今回発表する2027年度までの経済・物価見通しだ。米国においては、住宅市場や雇用指標の鈍化が確認されれば、利下げシナリオが現実味を帯びてくる。

一方で、日本は2027年に向けた物価上昇率の見通し次第では、金利引き上げのタイミングが早まる可能性もあるが、最も重要視されるのは、いわゆる「トランプ関税」のスタートだ。8月1日とされる相互関税(15%)の発動によるインフレ懸念や景気後退リスクが高まれば、投資家はリスク回避志向を強めざるを得ない。暗号資産のようなボラティリティの高い資産からは資金が流出する可能性があり、市場は不安定化し、価格変動が激しくなることが推測される。

暗号資産市場にとっては、こうした「金融政策の転換点」が最大の変動要因となる。現時点では、据え置きという「静けさ」の中にあっても、その背後には政策の変化を見通す不確実性が常に漂っている。


政策金利は「動かず」、だが市場は「動揺しやすい」

日米の中央銀行が政策金利を据え置いたことで、当面の流動性環境は維持されるもようだ。しかし、それは同時に「次の一手」がいつ出るのか読めないという不安定さをはらんでいる。暗号資産市場においては、このような「不透明な安定」が投資家のリスク選好に複雑な影響を与える。9月の政策決定およびトランプ関税発動を前に、暗号資産市場は今しばらく「方向感なき中立圏」での推移が続くことになりそうだ。

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Shigeki_Mori.jpg
大阪府出身。日本では雑誌編集者、読売テレビ広報記者、豪州では日系メディア編集・記者などを経てフリーに。日本とオーストラリアで20年以上、ジャーナリスト、編集者、翻訳者、ウェブプロデューサーとして活動してきた。近年は暗号資産関連の記事の執筆や翻訳、コンテンツ・マネジメントを行っている。
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