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金融庁、暗号資産規制を金商法で一元化=金融審部会では慎重論も

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著者:
Shigeki Mori

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編集:
Shigeki Mori

03日 9月 2025年 10:55 JST
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  • 金融庁は、暗号資産を金商法で規制し、監視と投資家保護を強化することを提案している。
  • 専門家は、この枠組みに不調なIEOを含めることに反対し、大きな損失の可能性を指摘している。
  • この議論は、暗号資産分野での技術革新と個人投資家保護の両立を図る日本の課題を浮き彫りにしている。
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金融庁は暗号資産の規制体系を抜本的に見直す。現行の資金決済法から金融商品取引法(金商法)への移管を検討している。投資家保護の強化と証券規制との整合性確保が狙いだ。一方で金融制度審議会では規制対象の拡大に慎重論も出ており、議論の行方が注目される。

証券と同等の規制体系へ移行

金融庁は2日の金融制度審議会作業部会で、暗号資産を金商法で規制する方針を示した。現在は資金決済法で管理されているが、投資商品としての性格が強まっていることを受け、より厳格な監視体制に移行する。

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新制度では暗号資産を証券と同様に位置付ける。発行者や取引所には厳格な要件を課し、市場の不正行為を抑制する。投資家への透明性確保も重視する方針だ。また資金決済法の関連規定は削除し、事業者の重複した規制対応負担を軽減する。

同庁は証券法の下でも、暗号資産の決済機能は維持されると説明している。ただしトークン発行企業には価格変動リスクや信頼性に関する詳細な開示義務を課す。来年の通常国会への法改正案提出を目指している。

IEO市場の低迷が議論に

提案を巡っては審議会内で議論が分かれた。業界団体の説明後、一部委員からは暗号資産への証券規制適用に疑問の声が上がった。

京都大学教授で元日本銀行金融研究所長の岩下直行氏は、ビットコインやイーサリアムなど主要トークンの法的位置付けは重要な問題ではないとの見解を示した。しかし全ての暗号資産への証券規制拡大には懸念を表明した。

岩下氏は国内の初回取引所公開(IEO)の実態に言及した。日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)のデータを引用し、国内IEOのほぼ全てが大幅に価値を失ったと指摘した。一部トークンは発行価格の90%以上下落し「事実上無価値」になっている。こうした資産を金商法下で公的投資に適した証券とするのは「考えられない」と批判した。

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