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日本の個人投資家がトークン化不動産を取引可能に 次の展開は

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著者:
Shigeki Mori

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編集:
Shota Oba

30日 9月 2025年 19:05 JST
Trusted-確かな情報源
  • デジタルセキュリティーズは、日本でセキュリティトークンのピアツーピア取引を可能にする「renga」を開始した。
  • 個人投資家は低い参入障壁で不動産の部分投資にアクセスできる。
  • シリーズA資金調達は主要金融機関から12億円に達した。
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東京拠点のスタートアップ、デジタルセキュリティーズ株式会社が、ブロックチェーンベースのセキュリティトークンプラットフォーム「renga」を立ち上げた。これにより個人投資家も大規模不動産資産への部分的な持分投資が可能となる。

サービスは9月30日に最初のファンドと共に始動。日本の規制証券市場では初となる、投資家同士の直接取引を可能にする仕組みだ。

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個人投資家が参加可能な部分不動産投資

同社は最初のrengaブランドファンド「レジデンス(北品川)」を発表。募集は9月30日から12月8日まで行われ、5年間で年利5.5%を目標とする。投資家は3362ドル(50万円)からユニット購入でき、最低取引単位は672ドル(10万円)。

セキュリティトークンはブロックチェーンを活用し、高額資産の部分的所有を可能にする。これにより小口投資家の参入障壁が下がり、トークンはプラットフォーム上で投資家間の直接取引が可能となる。

仕組みによりブローカーや信託銀行の仲介手数料は不要。同社は完全デジタル市場の運営に必要な規制承認を取得済みで、関連特許も保有。コンプライアンスを維持しながら個人投資家の裾野拡大を目指す。

不動産以外へのデジタル証券展開

rengaプラットフォームでは、今後エネルギーインフラ、航空機、船舶、企業債券など複数発行者の商品提供を予定している。

日本の家庭は現金貯蓄を好む傾向がある。多くの人は適切な商品選択に悩み、選択肢も限られている。rengaはこうした保守的な嗜好に合う安定商品を提供することを目指している

—— 山本浩平CEO

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さらに同氏は「投資家は基礎資産に関連する非現金の利益、例えば特典クーポンなども受け取れる」と述べた。マーケットプレイスはトークン取引を通じて流動性を提供し、長期資金拘束への懸念を和らげる。山本氏はプラットフォームをNetflixに例え、「複数の高品質商品を一箇所でアクセスできるシステムを目指す」と語った。

業界専門家は、このモデルが「証券投資の民主化」を進め、従来は機関投資家専用だった資産クラスを個人にも開放すると指摘。ただし課税面の課題は残る。

現行の日本法ではデジタル証券の所得は雑所得扱い。山本氏は「規制当局は現行課税を最終形とは考えていない。将来的に変更の可能性はある」と述べた。

シリーズA資金調達による拡大支援

同社は9月25日にシリーズAラウンド第2回クローズを完了し、200万ドル(約3億円)を調達。累計で800万ドル(約12億円)に到達した。投資家にはSBIベンチャーズスリー、三菱商事、三菱UFJ銀行、MUFGキャピタルが支援するMUFG No.10投資事業有限責任組合などが名を連ねる。

SBI証券の加藤亮副部長(戦略事業推進部)は「従来は機関投資家限定の商品を個人向けに分割することで、より多くの人々が証券投資に参加できる」と説明。将来的には映画、ワイン、アートなどの資産が金融商品化され、個人の興味と投資機会が交差する可能性もあると述べた。

同社はトークン化資産の多様化を進めつつ、市場規模を1兆円レベルへ拡大する計画だ。


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